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Channel: まちかど逍遥
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光集落にて。

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琴浦町光(みつ)の続き。

光の鏝絵は、昭和30年代に大火で集落の多くの家が焼けたので、火に強い漆喰で塗り固めた
蔵造りの家が建てられるようになり、施主の願いをこめた縁起のよい鏝絵が地元の職人により
施されるようになったとか。

鏝絵ともう一つ特徴的なのはキラキラと光る壁。戸袋や開口部の周囲、角の部分などで額縁に囲まれた
小面積の壁にガラスの破片がモザイク状に埋め込まれているのだ。その破片は緑や茶色や青もある。

「光」という集落の名前にぴったりじゃないの!

わずかに湾曲しているところを見るとガラス瓶を砕いたものを使っているようだ。職人の創意に
よるものだろう、それを見た人が我も我もと地域的なブームになったと想像される。面白いな!

これを見て、鏡の破片を布に縫い付けたインドのミラーワークを思い出した。

これはビール瓶の底だろうか!?


光の集落の道はくねくねと入り組んでいる。歩いていると、道路脇を流れる水路から庭先に
引き込まれた小さな水場が目につく。滋賀県の新旭町の針江地区で見た「かばた」を思い出した。




ここは湧き水ではなく普通の川の水だが、魅力的な親水風景。
一軒の家で庭に出られていた女性に少し声をかけてみた。全ての家にあるわけではないが
野菜の土を落としたりするのに便利だと。




集落の一番奥に建っていた小さな家の壁に、かわいらしい鏝絵がいっぱい!うわ~、何これ?
洋館の壁や天井に見られるトレーサリーというレリーフのようだ。


おや、塀の向こうで作業しているおっちゃんがいる。
こんにちは、鏝絵を修理してるんですか?
お庭に入らせてもらうと、小さな家の壁にたくさんの鏝絵装飾が!うわ~、かわいい。


玄関に表札が。あれ、吉田貞一さんって・・・?
何とここは光集落で鏝絵を作り始めた吉田貞一氏のお宅であり、おっちゃんはその息子さんの
吉田勝重氏だった。集落内の鏝絵は修行時代に手伝ったとか。素晴らしい鏝絵の数々を作って
こられたご本人とは!


これらの鏝絵は型取りしてベタッと貼っているのではなく一から漆喰を盛り上げて形作っているそうだ。




おっちゃんはあまり喋らないがにこにこしながら、建物の中に展示してある道具や型などの資料を
見せてくれた。鏝絵資料館ですね!さっき見てきた鏝絵と同じものがある。


手作りであろう道具の数々。うわぁ~~貴重。


和菓子の型とそっくりなこの木型は、ボーダー部分や額縁を飾るモチーフを作るためのものだな。


おっちゃんはもう今は仕事は弟子に任せてしまわれたが、自宅の壁が寂しいからいろんな鏝絵で
飾り付けて楽しんでおられるのだという。


実際に作った人と会うことができて、作業しているところを見れてラッキーだった。


静かな集落に怪しい者が入り込んだと、勤勉な犬が集落中に響き渡る声で吠え立てるのには参った(汗)
番犬ご苦労!退散します~


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