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Channel: まちかど逍遥
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鎧駅の魚類運搬車軌道跡

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前記事のラチス桁橋二つと共に、山陰方面で必ず見たいと思っていたものが、以前ネットで見つけた
鎧駅の魚類運搬車軌道の遺構である。


鎧駅は海岸線のまちをつなぐ国道178号から分かれた細い道をくねくね入り込んだ先にあった。
駅舎自体は小さな箱のような感じで特筆すべき趣もあまりないが、ロケーションが最高。
この駅は小さな入江の漁港を望む断崖の上にあるのだ。




地下道をくぐって向かい側のホームへ出ると、、、


うわぁ〜〜〜!トルコブルーの海と、その上を泳ぐこいのぼり。すごい絶景!

白い花に覆われた崖は転げ落ちたら絶体絶命。。。
「鎧」といういかめしい名前はこの切り立った崖の地形からつけられたのだろう。


下りてみたいがこの崖を歩いて下りる道があるのか?あったとしても、また歩いて上る勇気はない。
車で元来た道を途中まで戻り、ギリギリ車の幅しかないガードをくぐって港へ出た。

うわぁ〜〜!




そして・・・あっ、これか。
船小屋かだんじり庫のような建物の後ろに、コンクリートの階段状の構造物が見える。




海産物を鉄道で運んでいた時代。狭い急坂をエッチラオッチラ駅まで運ぶのは重労働だったろう。
この崖の上まで一気に運び上げたい!という気持ちはよくわかる。
浜坂や香住など、この沿岸のまちでの漁業は今ももちろん盛んであるが、この小さな入江の港の
水揚げ量は今よりずっと多かったようで、マグロまでも上がったらしい。


1952(昭和27)年ごろに完成。
コンクリートの凹部に枕木をセットしてその上にレールを敷き、ケーブル付の台車をモーターでけん引して
いたらしいが、最急勾配が563パーミルある高野山ケーブルよりも急勾配じゃないか!?


どんな台車だったのか。イメージ的には、屋根の上に瓦などを運び上げるリフトみたいな感じ!?

モータリゼーションにより鉄道輸送から車による輸送に変わると、この軌道も使われなくなった。
昭和45年ぐらいのことらしい。

現地には案内板もなく、草に埋もれかけたコンクリート塊であるが、私の滞在中にも数人の人が
これを見に訪れていた。
今は私有地となっており撤去に費用がかかることからそのままになっているらしいが、他に類を見ない
貴重な産業遺産、大事に残して欲しいなぁ。

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