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Channel: まちかど逍遥
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八丈島 滝と古民家

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八丈島の続き。

車を借りたら早速でかけよう。

八丈島は大きく見るとひょうたんのように中央部がくびれた形をしている。それは三原山と八丈富士という二つの火山がつながってできたからである。まちはそのくびれた低地に広がっていて、北岸にさっきフェリーで着いた底土港、南岸に八重根港、二つの港がある。そしてど真ん中に八丈島空港。ふたつの港の間の距離は6km弱、まぁまぁ広い。

二つの山は、見かけも生い立ちも全く異なっている。地図で見るだけでもそれは一目瞭然。八丈富士の一周道路はきれいな円を描いているのに対し、三原山の一周道路はギザギザ、特に北岸はヘアピンカーブがエンドレスに続いているようで、これを完走する自信は全くない。なので最初から一周するつもりはないが、やはり元気なうちに一番遠いところへ行っておこうと、今日は末吉集落まで行くことに。

三原山も南側の道はなだらかだ。道すがら、「服部屋敷」に立ち寄る。かわいい玉石積みの塀がカギ状に続いており巨大なソテツが茂っている。この奥に古い建物が残っているのか・・・と思いきや、行ってみると割と新しめの建物があるだけ。ん~~~?基壇部が立派な石積みの祠があったので拝んでおく。

 

説明板によると、服部家は下田の出身で、2代目からは官船のうち小舟のお舟預かりを務めて資産を築いたのだとか。

そしてこの石垣は流人近藤富蔵という人が作ったのだという。近藤富蔵って誰?後で調べよう。

八丈島に古い建築物などがないかと一応行く前にチェックしたのだが、あまり出て来ないのは、やはり台風などの被害や多湿な環境のために長持ちしないからだろうか。八丈島と言えば、の黄八丈の工房は休業中だった。オフシーズンだし観光客もまだほとんどいないから仕方ないな。

ということで自然を満喫するべく、硫黄沼・唐滝を目指す。八丈富士登山はかなり本格的な登山らしく早々諦めていたので、小一時間ほどで行けるこのコースぐらいちょっと奮発して(笑)行ってみよう、と。そして唐滝への道は崩れていて通行止めということなので、近い方の硫黄沼だけでちょうどいい。それほど高低差もなく日ごろの運動不足解消にぴったりのハイキング、道に迷うこともなく硫黄沼に到着したが、、、曇っていて硫黄の色は全然見られず、普通の水たまりだった(苦笑)。。。

次は裏見ヶ滝を見に行こう。その名の通り、滝裏へ回れるらしい。

車を停めてジャングルのような森の中を15分ほど、裏見ヶ滝が現れた。おぉ~~~っ、いいねぇ!

森の中の丸く開けたところにオーバーハングした岩から、レースのような水しぶきが広がって落ちる。美しい~~

硫黄沼はちょっと肩すかしを食ったけどこちらは期待通りの素晴らしさで、来た道を戻るのもごきげん。

 

ところで滝へ行くまでの道の脇に玉石を組んだ石段があった。「為朝神社石宮」と書いてある。パラパラっと降ったり止んだりの雨で石はしっとりと濡れて美しい。こんなにつるつるな上に天面が水平でなくかなり傾斜がついているのだから、どう見ても滑るだろ!こわいこわい!!・・・しかしこの美しい石段を上らないと後悔するような気がしたので登ってみた(笑)

 

そしたらやはりこれまた美しい玉石の擁壁に守られた祠があった。確かに「石宮」だ。これは島産の橄欖石玄武岩を使って、流人の石工、仙次郎が作ったものだと書かれていた。八丈島はかつて罪人が島流しされる場所だったが、技術や知識を持った人が島に新たな文化を作っていく一面もあったようだ。

さて、行きはよいよい・・・帰りは座り込みながら何とか滑らず降りることができた。

裏見ヶ滝の向かいには「裏見ヶ滝温泉」というとても雰囲気のある温泉もあって、入りたかったのだが、ここは水着着用でないとだめで、もちろん水着など持ってきていないので断念。。

さてどこかでお昼にしよう。休みのところも多いから電話をかけて確認してから向かう。いそざきえんという食事処はこんな趣のあるところ。あまりにも目立たないので一度通り過ぎてしまった。

 

しかしここが当たりだった!築200年の古民家を移築したという建物はとても落ち着けて、お料理も地産のものでとても美味しかったのだ。

装飾はないが、部屋の中の廊下側の半間分が垂れ壁で区切られているのが特徴的。

黒潮料理、というセットを頼んだら、お刺身、海藻や魚の煮たやつ、明日葉、こんにゃくなど、いかにも島の料理という感じで素朴なおいしさだった。魚の入った味噌汁もついている。

麦の雑炊。もちもちしておいしい。

そしてデザートは何と、モンステラの実だって!?モンステラって観葉植物の鉢植えでよく見かける穴の開いた葉っぱだ。熱帯ではそこらへんに雑草のように生えているが、実って食べられるのか!トウモロコシのように見えるが、まわりの部分はふにょふにょでイチジクのよう、いや、もっと柔らかいな。甘くておいしいが少しえぐみもある。これは熱帯フルーツアレルギーの人はダメなやつだろう。これも八丈島ならではのいい経験だ。

そしてお店に入る前に建物と建物の間から見えて気になっていた、石積みアーチを見せてもらう。総石積みで、コンクリートなどは一切使っていないように見えるが、厚さ3mぐらいあってめちゃくちゃ頑丈そう。尋ねてみると、もとは隣も同じ敷地だったが分けるためにあとから作ったものだそうだ。と言っても100年ぐらいは経っていそうな感じ。。

やっぱりこの吊るしてあるものも気になるよね!大根だそう。面白いなぁ!

 

途中で見かけて急遽車を停めた「大御堂」。ここも玉石積みがきれい!平安時代の地蔵があったり幕末の洋鐘が所蔵されている。そして同じ境内には、この中之郷集落だけで733人もの餓死者を出したという明和の飢饉の「冥福の碑」もあった。断崖が多く過酷な気候の火山の島。離れ孤島での生活は想像を絶する厳しさだったのだろう。。。

続く。


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