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Channel: まちかど逍遥
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賓日館を見学 その3

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2020年1月の伊勢・鳥羽の続き。



2階の中庭に面した明るい廊下を歩いていくと、廊下に何か出っ張ている。何だこれは!?


縁には曲がった木が使われ、見付部分には割竹が貼られている。そして足元はここだけ寄せ木になっている。
飾り台?にしても何でこんなところに?じゃまじゃない??


・・・ははぁ、これは元は手洗いだな。よく見ると壁に穴が空いている。
その横はトイレだった。ここは今も使える現役のトイレだが、古い意匠が残されている。


廊下の窓から見えた鬼瓦には、鳩?が2羽。


さっき見た客室の真上に、織上げ格天井が圧巻の120畳敷の大広間がある。
廊下の天井は半分が傾斜がついている。平らな部分の天井板は屋久杉かな?1枚がとても大きく分厚そうだ。


この大広間は1930(昭和5)年からの大改増築で増築された部分。
S字型になった折り上げ部の部材を「亀の尾」と言い、このような優美なスタイルが桃山時代に流行したので
「桃山式」というのだとか。しかし亀の尾ってそんなに曲がってないんじゃない?(笑)


中央に柱もないこの大空間に圧倒されるが、ディテールもまたすごい。
格縁には木曽檜が使われ、交差する部分には十字形の飾り金物が。格間の花模様は、型押しした紙に彩色し
金箔を施したものだそうで、シャンデリアの灯りに照らされ艶めかしく光る。


こちらの舞台は床下に6つの甕が埋め込まれた本格的な能舞台の仕様で、音響を考慮して床には檜、天井には
桐が使われている。背景の老松の絵は、ここ二見町に生まれ育った画家、中村左州の1935(昭和10)年の
作品で、畳に座って見ると枝が浮き出して見えるのだとか。


舞台とその脇の鴨居の上にある、花形の枠の中に鳳凰や菊の花が描かれた装飾も、気品を感じさせる。


舞台の反対側は床の間になっており、またとても細かい細工があちこちに。


床脇の天袋の繊細な飾り金物。


床板はなんか変わった木目の入った材が使われている。


その脇の障子の下の透かし彫り。


左側の書院もまたすごい。模様は見たことのないデザインのオンパレード。




床の間の壁には丸窓が空いているのだが、その格子がなんとなく中国風なイメージで。


菊の葉をデザインした引き手。


あぁ細部まで抜かりなく装飾で埋め尽くされ、すごいとしか言いようがない。これは民間の旅館となってから
作られたわけだが、皇族や各界の要人を迎える場所だからお金に糸目をつけずに作られたのだろうな。
当時、お金を払えば一般人でもここに泊まれたのだろうか!?


続く。

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