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Channel: まちかど逍遥
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仁科芳雄博士生家 浴室の敷瓦

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非常事態宣言の解除後、6月19日から県またぎ移動がようやく解禁されたけど、今年の梅雨は異常な豪雨。。。
雨が怖くて出かける予定がなかなか立てられない。。。
土曜は雨だったけど、天気予報を見ると日曜は大丈夫そう。ちょうど18きっぷのシーズンだし、急きょ日帰り旅を決意。
気合い入れて早起きして大阪駅へ向かう。18きっぷを券売機で買い、改札へ。ところが・・・・
「使用は20日からです」と。なぬーーーー!?
きっぷの発売は7/10からだが使用は7/20からなのだ!!久々の18きっぷ、すっかり要領を忘れていた(爆)。
あぁ計画が丸つぶれじゃないか!!自分のうかつさが嫌になる(泣)。さてどうしようか。。。

正規運賃の乗車券で岡山まで行くと、チケット屋で安売りの新幹線きっぷを買うのとあまり変わらなくなる。
よっぽど、今日はもう中止して帰ってふて寝しようかと考えたが、来週まで待ってもまだ使えないし、
再来週とかになるとまた天気がどうなるかわからない。チケット屋もまだ開かないし。めちゃくちゃ悔しいけど
買ったばかりの18きっぷは払い戻すことにして、正規運賃で乗ることに。。。
岡山までチンタラ3時間かけて行くのももうバカバカしいので、相生から岡山まで新幹線でワープ!
あぁ、これで本当にチケット屋の新大阪岡山の新幹線きっぷと変わらなくなった(苦笑)。何やってんだか。。。
ま、気をとり直して・・・今日は極上物件を見に行くのだ!

前置きが長くなったが・・・ワープしたおかげであまり疲れずに来れたし、里庄駅から20数分の徒歩も楽勝。
おぉ、ここか。。。白い塀に囲まれた仁科芳雄博士生家。


松並木のアプローチや玄関に向かって並べられた敷石はお寺のようだな。


アプローチは左右に分かれ、左に式台付きの玄関、右側に土間の玄関があった。土間の玄関から中に入る。


ガイドのおっちゃんにさらっと案内してもらう。
里庄町にあるこの家で生まれた仁科芳雄博士は、日本の原子物理学の父と言われる。
東京帝国大学卒業後理化学研究所に入って国内外で学び、宇宙線の研究、サイクロトロンの建設等を進め、
ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士や朝永振一郎博士も育てた、里庄町が誇る世界的な物理学者なのである。
物理学など全く疎い私は今まで名前すら知らなかったのだが、、、(汗)


この家は江戸時代後期の築と見られており、仁科博士はここで14歳まで過ごした。
ちょっと面白い間取りで、迷路のようだ。玄関から細い土間が裏の台所まで通じている。
土間から取り次ぎの間に上がると畳敷きの部屋が4つ並ぶが、いわゆる田の字配置ではなく表側と裏側とに分かれ
その周りを廊下がぐるりとまわっている。規模は違うが淡河宿の本陣跡村上家を思い起こさせる。


仁科家は元々は庄屋や代官を務めていたため、家はそれなりの風格を備え、庭門をくぐって座敷の広縁に
アクセスする謁見用の(?)アプローチもある。


近世の住宅ではだいたいそうであるように、室内に装飾はほとんどなく座敷の床の間もあっさりしている。
書院の欄間ぐらいかな。。


裏庭に面した井戸を取り込む形でセミオープンの下屋がかけられている。井戸の周りの床には花崗岩が敷かれ、
ここで博士が水浴びをしたとか。ただし塩分を含む水だったようだ。


廊下が2階建ての離れと蔵へと続いている。この離れは後年の増築のように思える。
そして、、、離れの奥に浴室があった。これもなんだか面白い配置で、部屋からは隔離され、蔵への渡り廊下の
途中に四方とも独立した小屋のような形で建っている。


中を覗くと・・・・うひゃ~~~~~っ!!!


お風呂の洗い場の床と壁の腰から下いちめんに、古い瀬戸の本業敷瓦が貼りめぐらされている!!狂喜乱舞の大興奮!
しかしあまり顔には出さず、「おぉ、素晴らしいですね!」と(笑)。


ひと通り建物内を案内してもらった後ここに戻り、一人、このタイル貼りの小宇宙に浸る。。。


大判の敷瓦は8寸角で、模様は見たことのないものも。印花文のはよくあるものだが、竹垣に雀は下津井の廻船問屋
昔に高山昭和館で見たぐらい、牡丹に雀は本物を見たことがなかった。
12枚花弁の桜花は高山の日下部民藝館で見たものと同じだな。飫肥の旧山本猪平家のものとはサイズ違いだ。
他でもあったかもしれないが、数は少ない。


小さいものは6寸角で、陰刻に茶色の線描きのタイルは、似た模様のが本に載っていたが、青い転写の方は見たことがない。
陰刻で似た模様のはあるが、尾ひれ葉ひれが多いな(笑)




そして扇型やハート形(桃型?)手描きの敷瓦もこんなにたくさん!!いずれもユーモラスな動物や風景が軽やかに
描かれており、楽しい楽しい~~~


ネズミ顔のコウモリ。


これはタコ?クラゲ?なんだか幽霊みたい(笑)


鋭い目つきのミミズク(?)。


展示されていたアルバムに改修前の写真があった。おぉ~~、貴重!!
これを見ると、改修前とほとんど変わっていないことが分かる。
貼られている本業タイルは明治30年代頃の製品のようなので、離れは明治後期頃に増築されたのではないかと想像。


アルバムの写真からは、建物の改修工事は屋根も壁も全て取り払いスケルトンにして、元と同じ工法で忠実に
作り直されたことが分かるが、このタイルはさわっていないようだな。残しておいてくれてよかった!

続く。

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