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Channel: まちかど逍遥
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タイル旅金門島 民居探訪(3)

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2019年9月の台湾金門島の続き。



また別の集落にやってきた。こちらの民居の入口脇の装飾パネルは、交趾焼とみられるカラフルに着色された焼き物を並べて
レリーフのように平たい模様が作られている。


額縁の部分にも同じ焼き物の小さなモチーフが散りばめられている。
こういった装飾は、日本からタイルが入ってくる以前に伝統民居を飾っていたものだが、淡陶の形象タイルと似ている・・・
淡陶は交趾焼を参考にしたのだろうか。色合いも淡陶の前身である珉平焼と似てるもんね。


軒下には物語を表した立体的な装飾が。これらの手の込んだ美しい装飾技法は、タイルが使われ始めたことにより
出番が激減したと考えられる。
以降、台湾ではタイル文化が花開いたとは言え、中国伝来の装飾を衰退させてしまったタイルは罪深い面も。。。


道端に干してあった素麺のような麺。これに見とれていたら、カメラの蓋を落として失くしてしまったのだった(涙)


洋楼もあったがタイルはなし。窓のひさしの形がいろいろで面白い。


車の通れない細い道に面したこちらのお宅は、入口の上が洋風の欄干がついていた。洋風アレンジのバリエーションが面白い。
ここの入口にわずかだがタイルが貼られているのを見落とさない(笑)


これはまたレプリカタイルだ。ちょっとキツイ朱色のような赤は日本製のオリジナルには見られない色。
さっきも見かけたこの手のレプリカタイルは模様をイッチンで描いていて、ひとつひとつ微妙に違っている。
人件費の安いところで家庭内工業で作っているのに違いない。


日本製のマジョリカタイルはすべてモールディングで作られているので、手描きのものは日本製ではない。
ヨーロッパ製のビクトリアンタイルには手描きのものもあり、シンガポールではわずかに見かけたが、
台湾の手描き模様のタイルはほぼ近年のレプリカと見てよいだろう。


こちらの洋楼も民宿になっている。
外側の柱や壁にたくさんのレリーフがついていて洋風に見えるが、部屋の壁のレリーフや文字はバリバリ中国風である。


何か文字が書いてあるな、「BENIBIN LUCKNESS」と読める。もともとこの建物を使っていた会社の名だろうか。


この集落にも小さなかわいい家が多く見られる。


うわ~、こちらはまたきれいなタイルが貼られているな!


あっ、やられた。またレプリカタイルか。。。
手作りのレプリカタイルと、大量生産の工業製品のオリジナルタイル、どちらに価値があるか・・・?
う~ん、レプリカに価値がないとは言わないが、やっぱりオリジナルタイルには思いが詰まっている。
そして日本から来た和製マジョリカタイルに出会いたい。。。




この「金門」の文字入りタイルはレプリカタイルと一緒に用いられているのをときどき目にする。
金門オリジナルデザイン。


あぁここのところ連続でレプリカ物件だな。。。オリジナル物件はここにはないのか・・・と半ば諦めつつ
集落の一番端まで来たところ・・・おっ、あれは!!


やった~見つけた!!タイルは確かに古いものだ。


そして、青地の果物柄タイルもある!うぉ~~、この青が高貴な雰囲気だなぁ!


果物の盛りカゴタイルも。なかなか素敵なラインナップ。


建物自体は、前にトタンやブロックで物置のようなものが増築され生活感がモロ見えな感じだが・・・(苦笑)
タイルと共に末永く暮らしてもらいたいなぁ。


こちらは外壁の全面にプリントタイルを貼ったお宅。プリントタイルは戦後のものと思われる。
イタリアタイルのようなパターン模様のタイルは昭和レトロな雰囲気で、これはこれでまた素敵なのだが、
ここまで圧巻なのは初めて見たな!


こちらの洋楼にタイルが見えたが、近づくと現代のタイルだった。。。



こちらは、「北山古洋楼」と呼ばれる有名な戦跡で、建物の壁に無数の弾痕がついている。
中国大陸と海峡を挟んで目と鼻の先にある金門島ではかつて、中国共産党軍と激しい銃撃戦が繰り広げられた。
1987(昭和62)年に台湾本島の戒厳令が解除されたあとも、金門島は一般人は立ち入れない場所だった。
外国人が旅行で来れるようになったのは1994(平成6)年。たった26年前なのだ。生まれてこのかた
安穏と生きていた私は、初めてそれを知った時すごいショックを受けたのだった。。。


この建物にも元々は美しいタイルが貼られていたのだ。。。タイルは何を見てきたか。


続く。

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