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Channel: まちかど逍遥
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上野海運ビル

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GWの北九州の続き。

若戸渡船の船着場のすぐ目の前にあり船上からもよく見える上野海運ビルは無骨な風貌で、初めて見たときから
強烈な印象を受けた。もと三菱合資会社若松支店として1913(大正2)年に建てられたもの。
レンガ積みのようだが赤くなくちょっと茶色がかったグレーのレンガでできており、10年前に来たとき
セメントレンガだと思っていたが、鉄鉱石の精製段階で出てくる不純物を再利用した鉱滓レンガである。


敷地内にはこの鉱滓レンガでできた蔵もある。


基壇部には花崗岩が使われていて味わい深い。


ところでこの上野ビルにテナントとして何かのお店が入ったことはニュースで聞いた記憶があったのだが、
その後訪れていなかった。
そろそろとドアを押して覗いてみるが、ほんとに入っていいのか???入居者案内には2・3階には服屋さんや
カフェなどの文字も見えるから誰でも入っていいはずなのだが、、、ドアを開ける手もちょっと躊躇・・・(苦笑)


中はひっそりしていて、何か不法侵入をしているような気分・・・(汗)
「当ビルを撮影した写真の営利目的での使用は禁止します 上野海運(株)」との張り紙があり、一応
写真撮影自体は禁止されていないようだ。ただし推奨はしていない感じだな・・・(苦笑)


入口を見返ると、リノベーションもしておらずリアルに100年の年月を経てきた事務所建築そのまま。
まさに産業遺産という言葉がハマる雰囲気である。しかしここは今も生きているビルなのだ。
1階は上野海運のほかいくつか実際の産業関連の事務所として使用されている。


奥の階段は木造でまるで古い学校のようだ。


上を見上げると、ガラスがはまっていて2階の灯りが透過している。このガラスは後からはめたような感じだな。
よし、上へ上ってみよう。


階段の踏み面は磨り減って何度も補修したような鉄板のつぎはぎだらけ。こういうディテールは建物の記憶を
リアルに伝えるものだ。横浜のジャパンエキスプレスビルを思い出した。


おお・・・!2階に上がるとやはり中央の四角いガラス張りの部分はもともと吹き抜けだったことが分かる。


その上は今も吹き抜けであり、3階の天井は格天井風のガラス天井。この上に四方(二方?)ガラス張りの建屋が
あって間接的な天窓となっているようだ。


あれは本物のステンドグラスなのかな?


2階の廊下は写真を撮るのに苦労するほど暗かったがお店が1軒やっていて、メンズの服屋さんだったが入ってみると
暖炉が残っていた。大理石のマントルピースはまるで古色塗装をしたように黒ずんでいてお店の雰囲気にぴったり
合っているな!店主の方とちょっとお話しして写真を撮らせてもらう。


バッタの顔のような装飾(笑)


吹き抜けのまわりの手すりは透かし彫りが入っていた。


しかし外は雨で夕方だから暗いのだろうが、私と同様、お客さんがやって来ても入るのを躊躇してしまうだろうなぁ・・・
あの服屋さんは売上げは立っているのだろうか、心配してしまう(苦笑)。


3階は真っ暗で見るからにお店が開いてなさそうだったしちょっと怖いのでやめておいた。。。
トイレの床のモザイクタイル。






今これを書きながら検索したら、テナント募集のおしゃれな公式サイトがあったので(こちら。内部の写真あり)、今後は
積極的に活用を進めていくのだろう。このビルの持つ特徴やストーリーをうまく残しながら、もう少しWELCOMEな
雰囲気を演出して素敵に進化すればいいなぁ。


続く。

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