Quantcast
Channel: まちかど逍遥
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1991

堺屋の敷瓦

$
0
0
八女の続き。



こちら堺屋、旧木下家住宅。


木下家は江戸時代より代々酒造業で栄えた家で、堺屋は屋号である。ここに残るのは離れと倉庫が2つ。それと庭園。


もちろん元は母屋もあったのだが、昭和63年に八女市に寄贈されたときにはすでに取り壊されていたとか。


しかし1908(明治41)年に竣工した離れはほぼ当時のままの姿をとどめており、その座敷は銘木が使われ
細部も面白い意匠が満載なのだ!




漆喰塗りと思われる壁は、グレーというかまるで防空色のような濃い深緑色に着色されている。
そしてこの天井が目を引く。折上げ天井なのだが、格天井ではなく棹縁天井、しかも白木。こんなのあまり見ないな!


床柱は黒柿?しぼのような模様がついている。同じ木をどこかで見たのだけど・・・
違い棚は4段。幅の広い床の間は風格たっぷり。
折鶴をモチーフにした素敵な釘隠し。他の部屋はまた違ったものが使われている。


そして床の間の書院の上の大きな富士山型の窓は、、、なんだこりゃあ!?ガラスがはまり、一部すりガラスとして雲を表現。


これは縁側に面した欄間。千本格子に鳥が遊ぶ。


外に面した欄間のガラスは各種の植物模様入り。


ふすまの引き手も手彫りと見られる。部屋ごとにいろいろなデザインの引き手が使われていた。


お庭に面した縁側はひとり静かに座っていたくなるね。
実際、外国人とみられる若い男の子がひとりでずっとこの縁側に座っていたので、なかなか写真を撮れず(苦笑)


そして・・・座敷の裏にまわるとトイレがあるのだが、これがここのいちばんの見どころなのだ!!
廊下からの踏み込みを斜めに取ってあるのがおしゃれだね~


淡陶の古いタイルが床いちめんに!!うひゃ~~~、興奮!太い目地に萌える~~


これはつい先週、大川の清力美術館のトイレで見たのと同じ柄だ。


管理人のおばちゃん曰く、これらのタイルは元から貼られていたものだと。
淡陶での乾式製法の確立は明治41年なので、明治41年に完成したこの家の当初からあったタイルなら
湿式と考えてよいだろう。

網干の山本邸の裏の外便所にもほぼ同じタイルがあり、湿式だと思っていたのだが、兵庫県立考古博物館の深井さんが
調査に入ってくれたところ、乾式だろうとのことだった。それを聞いて判別に自信がなくなった(苦笑)

その奥の個室の床には白無地のタイルが市松状に貼られているが、これも同じ淡陶製と思われる。
青磁色の便器のまわりだけ、間が大きくなるからだろう、1/2のタイルが変則的に貼られていた。


あぁ~~素晴らしかった!貴重なタイルが今までずっと保たれてきたのは幸運だったなぁ!


八女散策は順調に続く。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1991

Trending Articles