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Channel: まちかど逍遥
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西の原

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波佐見の続き。

モンネ・ルギ・ムックでランチを食べ終わったら、長居せず他の店を見に行こう。
ここは江戸時代創業の窯元、幸山陶苑が営んでいた福幸製陶所の跡地。1926(昭和元)年にこの地に移り
操業開始し、2001(平成13)年に廃業した。
波佐見でも大量生産のためにそれぞれの工程を専門業者により分業する体制が一般的だったが、こちらの工場では
志田焼の里と同様、それらを内製化し一貫生産できるようにしたとか。

中庭を囲んで建つ建物は皆形が違っており、その1つ1つが個性豊かなお店になっている。しかもものすごくおしゃれ!
こちらはいちばん道路に近いところにある、モンネ・ポルトという雑貨店&ギャラリー。


外観は古い納屋のようだが、内部は広々した空間を生かしたアート作品が展示されていた。
もとは器の成形をする「ろくろ場」だった場所。


形作った器はこの軒下に並べて置かれたのだろうか。使い勝手のよい半屋外スペースは居心地もよい。


こちらはもとは絵付け場だった建物で、HANAわくすいという生活道具のセレクトショップになっている。
どことなく北欧の雰囲気が漂う。


取り扱うのは「作り手の顔が見え、商品の背景にストーリーがあるもの」。まさにものづくりの場だった
この建物のストーリーが受け継がれているのだなぁ!


質のよい、使うことに喜びを感じるような、素敵な道具や器、ファブリックなどが並んでいて、本気で買い物モードに
入りそうに・・・(苦笑)




春が楽しみなお庭。




オーガニック食品や、おしゃれなパッケージの外国の食品などを集めたお店。


トイレも素敵!そしてその奥にあるのはなんと、ボルダリング施設!




奥へ続く緩やかな坂道を進むと建物が次々に見えてくる。変化する風景。もともとこのアプローチは狙ったものでは
ないはずだが、「まちなみ」としてなんと魅力的なのだろう。




コーヒー屋さん、おにぎり屋さん。傾斜地の一番奥の小さな小屋にはアイスクリーム屋さんがあった。
やっぱり飲食店が充実していることは、純粋に商業施設として大事だと思う。




こちらは、製陶所の出荷事務所だった「南創庫」。新しい感覚の波佐見焼の作品を展示販売している。




ロフトの2階は体験もできるスペース。


建物は多様な形で、それぞれ鄙びた建物の魅力が生きていて、どこを見ても絵になる。
まだ活用されていない建物もあり、さらなるポテンシャルを秘めているなぁ。
廃業した大きな工場は普通なら朽ち果てるまで放置され、取り壊されるだけだろう、田舎の山の中の古工場が、
プロデュース次第で、遠方から車でわざわざそこを目指してやってくる憧れの場所となるのだからすごい。


志田焼の里博物館では、同じく一貫生産していた大規模な工場が、稼動していたときの姿のまま、時間を止めた
ように残され展示されていた。一方こちら西の原では建物はそのままに内部に新しい営みを宿している。
どちらもその場所の歴史をリスペクトして次の時代に伝えているということは共通している。
どちらがよいとかではなく、両方あるのがいいな!


とても満足な気分でそこを出ようとしたときに、ニコニコ顔の老人に声をかけられた。「ここはどうですか」
「魅力的なお店があってすごく素敵ですねぇ」「また来たいですか」「はい、また来たいです!」


後から思えば、あのおっちゃんは工場のオーナーだったのでは。。。波佐見の歴史を作ってきた自分の工場が
そのままの姿で、こんなにいきいきと蘇り、賑わいを生み出しているのを目にするのは、本当に感慨深いことだろうなぁ!


西の原の公式サイト

続く。

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