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名古屋近代建築観察会

だいぶ経ってしまったが(汗)・・・1月末に参加した名古屋近代建築観察会のことを。

モザイクタイルミュージアムのサイトを見ていたら、現在開催中の「陶磁器試験場と近代の建築装飾」展の
関連イベントで、名古屋市内の近代建築の見学会を見つけた。講師はは去年愛知登文会のツアーで陶磁器会館を
ガイドして下さった村瀬さんだという。モザミューに電話して内容を聞いたら、タイルを中心に見て回り、
最後に丸栄の内部を特別見学できるということだったので、即申し込んだ。タイル好き仲間にも知らせたところ
皆申し込んだようで、今回もmayumamaさんと関東から3人、前回と同じメンバーが集結(笑)
20名限定のところを名古屋外の者で5席埋めてしまったのはちょっと悪いかなと思いつつ・・・(汗)
実際すぐに満席になったらしい。早く見つけてよかった~
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ちょっとゆっくりめのバスで名古屋に着き、油断していたら集合時間にちょっと遅刻、、、すみません。
名古屋市役所と愛知県庁の外観の説明を聞きながら南へ下り、愛知県庁大津橋分室へやってきた。
ここは一度見ており、前回の記事にも書いたが、規模が小さい割にアシンメトリーでいろんなスタイル、装飾要素が
詰まった、「濃い」感じの外観デザインだ。
戦争資料館になっているので普通に入れるのだが、今回は特別に屋上まで上ることができるというのでわくわく。
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屋上では外壁のスクラッチ風の縦縞タイルを間近に見ることができた。
外観を特徴づけている縦ラインの付け柱も目の前に。
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パラペットに開けられた穴から顔を出して見ると(怖い!)、正面に取り付けられたテラコッタがちらりと見えた。

資料館になっている一階の部屋はもと信用組合の営業室で、天井を見上げると梁には華麗なレリーフが入っている。
現在は閉じられているがここが入口で、かつてはカウンターがあったという。
しかしここは前回見ていなかったなぁ~
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隣の伊勢久は完全に民間の建物で、外観は愛知県庁大津橋分室と対照的。シンメトリーで上品な感じ。
土日はお休みなので中は見たことがなかったが、今回はご主人が案内していただけるというありがたい機会だった。
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元は薬問屋として創業され、創業260年になる超老舗。現在は陶芸用品を扱うお店となっている。
中に入ると、こちらもいちばん手前の1間ほどの部分のみ装飾豊かな格天井になっている。
やはり接客スペースとなる空間は意識して豪華に作られたのだ。ここより内側はシンプルな天井だった。
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釉薬や道具類がたくさん並んでいて買い物したくなるが、、、建物も見たいし説明も聞きたいし(苦笑)
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この伊勢久さんは名城小学校の設立にも尽力されるなど地元の名士であられたようだ。
社屋を建てるにあたっても、模範となる建物にと、ボイラーやエレベーターなど最新の設備を入れられたそうだ。
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タイル貼りが側面の途中で終わっているのはやはり合理的な民間建築。
ペントハウスと側面のパラペット部に少しだけスペイン瓦が残っていた。かつては全周に載っていたらしい。
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ところでこの2つの建物は、前面の大津通りに市電が走ることになった時に、桜通りの日本陶磁器センターと同様、
地下室ごと曳き家して7m西へ移動したのだとか。曳き家を専門としていた岐阜の阿部工業所(?)という
ところが請け負ったといい、名古屋の有名建築の曳き家はほとんどそこがやったのだとか。へぇ~~

中北薬品の建物は、名工大時代の武田五一の教え子だった城戸武男の設計によるものといい、
中北薬品のホームページに1936(昭和11)年に本社社屋新築移転と書かれているのがそれだろう。
内部には素敵な階段があるそうだ。

さて久屋大通へ移動してきた。目の前には名古屋テレビ塔がそびえる。ご存知内藤多仲によるタワー6兄弟のうち、
1954(昭和29)年に開業したこのテレビ塔が長男である。。
以前名古屋出張の帰りに上ったことがあり、そのときに詳しく書いているが、地上100mで風に吹かれながら
景色を楽しめる!! →以前の記事「名古屋テレビ塔
テレビ塔は、戦後元気がなくなってきた名古屋に新たな観光名所を作りたい!と商工会議所が奮闘して建てたという。
大きな建造物を「道路上」に建てることは法的に諸問題があったそうで、このタワーの扱いは「電柱」と聞いて驚く!
それまでは局ごとにアンテナを立てていたのを一本にまとめたのは日本初の先進的な試みで、東京タワーなども
その後を追った。
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内藤多仲の名で知られているが、実は今井兼次が構造と平面プランに関わっており、V字を重ねたような鉄骨の
構成や足元のアーチ構造を導入したとか。ガウディ風のモザイクで有名な今井兼次が意外な気がするが、
構造や合理的なデザインを手がけた一面もあったのだな。
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その次にやって来た中日ビル(中部日本ビルディング)。久屋大通と広小路の交差店に面した巨大なビルだが、
来年3月末で閉鎖となり、建て替えられる予定。。。ここの1階の吹き抜け天井の素晴らしいモザイク画は有名だが、
外観も竹中工務店のこだわりが詰まっているという。
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高さ42m規制の中でフロアを詰め込んだため階高が低いそうで、言われてみれば確かに圧縮した感じがする。
各階の窓を見ると、西日よけのルーバーと、アールをつけてせり出した庇がついている。当時はそこに
照明が仕込まれており、夜になるとアール部分に光が当たりグラデーションを呈したそうだ。
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言葉だけでは想像がつきにくかったが、そのあと当時の夜景を写した写真を見て、その美しさに感嘆した!!
低い階高のために光の密度が濃くなり、夜景ではむしろ魅力を増しているな!
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そしてモザイク画は最初は壁画とする予定だったのが、1階のファサードに大型ガラスが使用可能となったこと
を受け、外からガラス越しに見える天井画に変更されたのだとか。
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何度見てもため息の出る美しさ・・・ →前回の記事「名古屋ビルめぐり 中日ビル
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今回、奥の部屋に収蔵されていた矢橋六郎の原画を見せていただけた。「大空の饗宴」と題された小さな絵。
これが、あの壮大な天井画になったのか!星のきらめく夜空を天使がひらひらと舞っているイメージ。
矢橋六郎は天井画を描いたのはここが初めてだったそうだ。
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モザイクガラスや大理石や磁器タイルをつかったこのモザイク画は、矢橋六郎が完成当時の説明文に書いて
いるように、「永久に退色や変色する事なく」鮮明に輝き続ける「永遠の絵画」である。
昭和60年に一度は取り外して補修しているから、解体にあたっても取り外して新しいビルに再設置することは
十分可能だろう。一部分も欠ける事なく再び新しい建物を飾ってくれることを信じよう!
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続く。

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