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Channel: まちかど逍遥
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高野口の建物めぐり

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今月の建築めぐり講座は少し遠出、南海高野線の橋本からJR和歌山線に乗り換えて2駅の高野口へ。

南海電車の車窓風景は河内長野を過ぎるとぐっと緑の割合を増す。
朝の雨でしっとり湿り気を帯び色を濃くした山里に、満開の桜がもやのようにかかる光景は幻想的。。。

降り立った高野口駅はこんな古い木造駅舎。うわぁ・・・・いいなぁ。


そしてその真ん前に、この立派な木造3階建ての元旅館、「葛城館」が建っているのだ!すごい〜〜
総ガラス張のファサードに圧倒される。2階の窓の高欄の外側にはガラスでなく鏡がはめ込まれているのが特徴的。
明治後期の築とのことなので、全面ガラスは後年増築のタイミングでしつらえられたのかもしれない。

ここから高野山はちょっと距離がある気がするが、鉄道を利用して高野山へ参詣する人々でにぎわったそうだ。

広い土間から2階へ上がる階段。




2階の階段ホールからすぐまた半階下りて廊下が奥へとつながっている。
この建物は前・中・後の3棟からなり、中・後の棟は増築だろう。

前の棟ももともとは2階建てだったのを増築して3階にしたといい、3階へ上がる階段は取ってつけたようだ。

来月、後ろの棟が取り壊され、表の建物は改修・補強の工事を経たのち、活用される予定だという。


このあと、昭和12年竣工の現役木造校舎の残る高野口小学校へ向かう。この学校は川跡に建てられている。


和歌山らしい、青石積みの外まわり。


学校建築も洋風やモダニズムの流れが一般化しつつあったこの時代に、寺院のような重厚な純和風の造形を
見せるこの校舎が作られたことは驚きなのだとか。


中央入口から左右に広がる本館から、裏の校庭に向かって細長い棟が何本も伸び、棟と棟の間は明るい
中庭となっている。すべての教室に光と風が届くこの平面計画はフィンガープランと呼ばれ、
文部省が明治28年に提示したものというが、えらく遅れて採用されたものだ。

中庭が明るいのは平屋建てのせいでもある。昭和9年の室戸台風を教訓に、剛健な構造が取り入れられたのだとか。

床や壁は改修されてずいぶんきれいになってはいるが、今もオリジナルの姿そのままに大切に使われている。


解散してから帰りにmayumamaさんとyumeさんとともに、駅の反対側に見えた「パイル織物資料館」を見に行く。


角部分に飛び出して作られた玄関周りが特徴的。ガラス窓から覗いてみると、物置状態になっているが
菱形の窓や欄間、照明器具など、なかなか素敵な意匠が見られる。


資料館は閉まっていたがmayumamaさんが事務所の人に声をかけてくれたおかげで見学することができた。
もとはこのあたりで盛んだったパイル織物製品の検査所だった建物なのだとか。独特の製法は興味深い。
ただ、見学できたところは製品の展示販売や織物教室に使われている広い部屋で、特筆すべき装飾等はなかった。


いろいろ見れて楽しい「遠足」だった!

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