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Channel: まちかど逍遥
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福江島の教会めぐり その3

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福江島の教会めぐりの続き。



三井楽教会の感動冷めやらぬまま、次にやってきたのは貝津教会。
貝津教会は、1924(大正13)年に建てられた小さな聖堂を、1962(昭和37)年に大規模増改築し
現在の姿になった。塔もこのときつけ加えられたもの。


門から敷地内を見ると・・・おや?何か様子がおかしいな。。ちょっと見に行ってみよう。


建物の近くまで行ってみると軽トラやフォークリフトが停まっていて、人が脚立に上って作業をしていた。
窓を取り外しているのか!?色ガラスのはまった窓を修理しているようだ。
「今工事中なんですか?」「そうですよ」


開け放されている入口からそろそろと聖堂内を覗くと、長椅子は片付けられ床いちめんにブルーシートが敷かれて
改修工事のまっただ中。「中見せてもらってもいいですか?」「いいよ」「ありがとうございます!」
よかった!写真もOKと。


取り外された窓枠が床にいくつも広げられている。作業台の上では色ガラスを丸くカットしているところ。
取り外された古いガラスも置かれている。・・・と思ったら、これは薄いアクリル板だな?
元のガラスが割れたあと一部色付きのアクリル板が嵌められていたのを、ちゃんとしたガラスに直しているのだな。
トレーサリー(窓の透かし模様)も新しく板をカットして作られている。


作業をしているおっちゃんに遠慮がちに話しかけると、意外といろいろと説明してくれたり、元の姿の写真を
見せてくれたり。そして話を聞いて驚いたことに、おっちゃんたちは工事発注された業者ではなく、
信徒なのだという。信徒が自ら自分たちの聖堂を直しているというのだ。だから親切に話してくれたのか。。
まるで営利企業のように事業を展開する宗教法人をニュースなどでも見聞きする昨今、
島のキリスト教信徒の純粋な信仰心と奉仕精神に、ちょっと心を打たれた・・・


こちらではサンドブラストで一部をすりガラスに加工している。すごいな、こんなことまで現場でやるのか。


天井はすでに塗り直されたと見え、模様も鮮やか。


工事が完成したら一層鮮やかな光が聖堂内を彩ることだろう。その時また見に来たいなぁ。
しかし何よりも今は仮の聖堂で祈りを捧げているのであろう信徒の皆さんが完成を待ち焦がれているはずだ。
何月に完成する予定か聞いたのに忘れてしまったが・・・もう今頃は出来上がっているのだろうか。


さて次は井持浦教会へやって来た。


1897(明治30)年に建てられた五島で最初のレンガ建築だったが、今の聖堂は1987(昭和62)年の
改築後の姿ということだ。
水ノ浦教会や貝津教会など、元の古い聖堂を増改築を繰り返して使い続けているところは多い。
堂崎教会が「五島最古の洋風建築物」と言われるのは、当初の姿で現存する建物のうち最古ということだろうか。
それとも井持浦教会の最初の聖堂はレンガ積ではあったけれども洋風建築物とは言えない簡素なものだったと
いうことか。


この井持浦教会はルルドが有名。
ルルドとは、南フランスピレネー山脈の山麓にある町の名で、このルルドのまちにあった洞窟で起こった奇跡に
あやかり世界各地でこの洞窟と泉を模したしつらえが造られそこに聖母マリア像が収められた。
それを日本では「ルルド」と呼ぶようになった・・・ということらしい。
そして1897(明治30)年に(現地説明板による)日本で初めてルルドが造られたのがこの井持浦教会なのだ。
今も霊泉地として日本各地から熱心な信徒が訪れるのだという。




福江島の東側に位置する福江のまちから北海岸沿いをぐるっと走ってきてほぼ半周、福江島のいちばん西端に
張り出した細長い半島(岬?)の先端まではるばるやって来た。
玉之浦教会は入り組んだリアス式海岸の小さな入江に面して建つ小さな教会。


1962(昭和37)年築。塔とマリア像がなければ普通の家のような佇まいだ。
神父の常駐していない小さな教会なので、やっぱりカギが掛かっていて内部は見ることができなかった。


この日の教会めぐりはここで終了したのだが、翌朝福江教会にも行ってきたので続きで書いておこう。


福江教会は地域の中心地である福江のまちなかに建っており下五島地区で信徒が最も多い教会である。
大きな聖堂は1962(昭和37)年に完成。5か月後に起こった福江大火では市街地のほとんどを焼き尽くし、
この教会も三方を火の海に囲まれたが奇跡的に類焼を逃れたという。いちめんの焼け野原に福江教会が
無傷でぽつんと佇んでいる写真が説明板に載っていた。本当に奇跡のような光景。。。


外観は爽やかな白と水色のツートーン、浦頭教会に似た三連円の窓が並ぶ。
外からは分かりにくいが、縦長窓にも黄色と赤の色ガラスが入っており、十字架のデザインになっている。
聖堂内に入ると柱のない大空間にオレンジ色の光が満ち満ちて異世界のようだった。



さてこれにて福江島の教会めぐりは終了。
明治時代の木造・レンガ建築から戦後のRC建築まで、さまざまなスタイルの聖堂があったが、いずれも美しく
保たれ、真摯な信仰心やつらい時代を乗り越えてきた先達への畏敬の念が感じられる場だった。

続く。

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