高知の続き。
夕闇に急かされて車を走らせ、室戸岬の先端にある岬観光ホテルに到着。このホテルは室戸岬の本当に先端から500m
ぐらいのところにぽつんと建っていて、まわりには集落というようなものはないので、漏れる灯りにほっとする。
着いたら早々ご飯なので、翌朝明るいときにゆっくり館内散策しよう。
爽やかな朝!完全な逆光で撮るのにはなかなか苦労した。。。
岬観光ホテルは、1933(昭和9)年に資産家の別荘として建てられ、その後ホテルに変更された。
1964(昭和39)年には海側に新館を増築。2016年に現在の女将が前オーナーから経営を引き継いだとか。
(クラウドファンディングの説明による)
もともと総二階建ての切妻屋根の両側に大きなドーマーウインドウが載った形状だったのが現在は片方のみに
なっている他は、ほぼ建築当初の外観を留めている。
外観はそれほど目を引くような装飾はないが、一方建物内部はいろいろと装飾が見られる。一番雰囲気があるのは
このエントランスホールである。
角を落とした形のレトロな雰囲気の玄関ドア、壁の腰張りには型押しの二丁掛タペストリータイル(布のような
表情のタイル)が貼られている。靴を脱いで上がる形式はホテルというよりもペンションや旅館っぽいな。
それにこうして見るとやはり住宅として建てられたことがよく分かる。
エントランスホールには階段が下りてくる。手すりや梁のハンチの装飾などしゃれているな。
2階へ。
目の錯覚か!?中央部が船底天井のように勾配がついて見える。
客室は全て割と簡素な造りの和室だ。どの部屋からも海が見える。
そして3階へも案内して頂く。細いがちゃんとした階段がつけられている。
屋根に合わせて両側に勾配のついた天井は少し低いが、柱もなく広々した空間だ。奥の窓は正面の妻部分にふたつ
並んだ窓だな。
屋根裏の小屋組を覗くとやはり洋風のキングポストトラスだ。
そして、現在は窓を無くしたドーマーウィンドウの部分も、内側から見せて頂いた。
お話を聞くと2018年の台風で屋根が飛ばされたといい、クラウドファンディングを利用して補修された。
しかし、こんな台風銀座の室戸岬の先端の吹きさらしに建っていてよく今まで大丈夫だったな、室戸台風の
時はどうだったのか!?という疑問が湧くが、自然の不思議というか、岬の先端からわずかに東側にずれている
ことで台風の風が直撃しなかったのだという。岬の西側にある集落はニュースの通り壊滅状態だったのに、地形の
わずかな違いで長年被害を免れてきたとは、驚きである。しかし2018年の台風は、いったん過ぎた台風が
戻ってくる形で東側から襲ってきたため、これまでにない大きな被害となったそうだ。
1階へ戻る。廊下の垂れ壁に稲妻型の装飾が。
私たちの泊まった部屋は新館で風呂なしの部屋だったが、お風呂付の部屋もあるというので見せてもらった。
すると・・・うわぁ、カワイイ昭和のタイル風呂♪床に玉石タイルがみっしり敷かれ、浴槽もモザイクタイル貼りだ。
お風呂付の部屋はいくつかあって、それぞれに違ったタイル風呂である。新館が増築されたという昭和39年、
まさにモザイクタイルの最盛期だ。
ここのは浴槽の縁に窯変調の小丸タイルが使われていてヘビのうろこみたいでかわいい(笑)
浴槽の内側は同じ大きさの小丸タイルだが爽やかな水色。こちらももやもや濃淡がついていて縁は茶色、一粒一粒
みな違う。工芸品のような味わいのあるこのタイル、私の好きなタイプだ。
こちらの部屋のお風呂は少し大きな浴槽。壁いちめんの藤色の長方形モザイクタイルがきれい!!床は無釉の
モザイクタイルを市松に。
同時に造られたお風呂でも全部違うタイルが使われているのが面白い。いまなら同じ形のお風呂を作って
同じタイルのせいぜい色違いを使うくらいだろう。
この時代の建物、お風呂屋などでも、あっちの壁、こっちの壁、床、浴槽、手洗い、トイレ、玄関、と全部バラバラの
モザイクタイルが使われていて楽しいのだが、これはたぶん、タイルの選択肢がたくさんありすぎて目移りして
選べなくて、あれもこれもちょっとずつ使ってみたい!!ということだったのだろうと想像している(笑)
各部屋から海が見えると言っても見える方向や景色も違い、リピーターの方はお気に入りの部屋を指定して
毎年泊まりに来るのだとか。
そして、こちらの物置のようになっている部屋も特別に見せて頂いたのだが、新館の客室にはない数寄屋風の
意匠があってちょっと面白い部屋だった。
屋根裏などを整理していると昔使っていた浴衣や従業員の制服などが山ほど出てきて、ほとんど処分したが
少しだけ残していると言って見せて下さった。この浴衣を着た風呂上りのおじさんたちが広間で宴会してごきげんで
酔っぱらっている姿が目に浮かぶ(笑)
本館の広間はもちろん畳だがドアは洋風だった。昔はそこで結婚式もやっていたのだそうだ。
チェックアウトしてから外回りをぐるりと。見えているのは前室オーシャンビューの新館だ。
敷地は石積みの低い塀で囲われている。
ところどころに入れられた動物のレリーフがカワイイ~
残っている方のドーマーウィンドウを、ここからやっと見ることができた。もう窓はなく閉ざされている。
ホテル新館の前はほんとにすぐ海。プライベートビーチならぬプライベート岩場だ。ゆっくり滞在して海辺を
日がな一日散策するのもよさそうだなぁ。台風でないときに限るけど。。。
続く。
夕闇に急かされて車を走らせ、室戸岬の先端にある岬観光ホテルに到着。このホテルは室戸岬の本当に先端から500m
ぐらいのところにぽつんと建っていて、まわりには集落というようなものはないので、漏れる灯りにほっとする。
着いたら早々ご飯なので、翌朝明るいときにゆっくり館内散策しよう。
爽やかな朝!完全な逆光で撮るのにはなかなか苦労した。。。
岬観光ホテルは、1933(昭和9)年に資産家の別荘として建てられ、その後ホテルに変更された。
1964(昭和39)年には海側に新館を増築。2016年に現在の女将が前オーナーから経営を引き継いだとか。
(クラウドファンディングの説明による)
もともと総二階建ての切妻屋根の両側に大きなドーマーウインドウが載った形状だったのが現在は片方のみに
なっている他は、ほぼ建築当初の外観を留めている。
外観はそれほど目を引くような装飾はないが、一方建物内部はいろいろと装飾が見られる。一番雰囲気があるのは
このエントランスホールである。
角を落とした形のレトロな雰囲気の玄関ドア、壁の腰張りには型押しの二丁掛タペストリータイル(布のような
表情のタイル)が貼られている。靴を脱いで上がる形式はホテルというよりもペンションや旅館っぽいな。
それにこうして見るとやはり住宅として建てられたことがよく分かる。
エントランスホールには階段が下りてくる。手すりや梁のハンチの装飾などしゃれているな。
2階へ。
目の錯覚か!?中央部が船底天井のように勾配がついて見える。
客室は全て割と簡素な造りの和室だ。どの部屋からも海が見える。
そして3階へも案内して頂く。細いがちゃんとした階段がつけられている。
屋根に合わせて両側に勾配のついた天井は少し低いが、柱もなく広々した空間だ。奥の窓は正面の妻部分にふたつ
並んだ窓だな。
屋根裏の小屋組を覗くとやはり洋風のキングポストトラスだ。
そして、現在は窓を無くしたドーマーウィンドウの部分も、内側から見せて頂いた。
お話を聞くと2018年の台風で屋根が飛ばされたといい、クラウドファンディングを利用して補修された。
しかし、こんな台風銀座の室戸岬の先端の吹きさらしに建っていてよく今まで大丈夫だったな、室戸台風の
時はどうだったのか!?という疑問が湧くが、自然の不思議というか、岬の先端からわずかに東側にずれている
ことで台風の風が直撃しなかったのだという。岬の西側にある集落はニュースの通り壊滅状態だったのに、地形の
わずかな違いで長年被害を免れてきたとは、驚きである。しかし2018年の台風は、いったん過ぎた台風が
戻ってくる形で東側から襲ってきたため、これまでにない大きな被害となったそうだ。
1階へ戻る。廊下の垂れ壁に稲妻型の装飾が。
私たちの泊まった部屋は新館で風呂なしの部屋だったが、お風呂付の部屋もあるというので見せてもらった。
すると・・・うわぁ、カワイイ昭和のタイル風呂♪床に玉石タイルがみっしり敷かれ、浴槽もモザイクタイル貼りだ。
お風呂付の部屋はいくつかあって、それぞれに違ったタイル風呂である。新館が増築されたという昭和39年、
まさにモザイクタイルの最盛期だ。
ここのは浴槽の縁に窯変調の小丸タイルが使われていてヘビのうろこみたいでかわいい(笑)
浴槽の内側は同じ大きさの小丸タイルだが爽やかな水色。こちらももやもや濃淡がついていて縁は茶色、一粒一粒
みな違う。工芸品のような味わいのあるこのタイル、私の好きなタイプだ。
こちらの部屋のお風呂は少し大きな浴槽。壁いちめんの藤色の長方形モザイクタイルがきれい!!床は無釉の
モザイクタイルを市松に。
同時に造られたお風呂でも全部違うタイルが使われているのが面白い。いまなら同じ形のお風呂を作って
同じタイルのせいぜい色違いを使うくらいだろう。
この時代の建物、お風呂屋などでも、あっちの壁、こっちの壁、床、浴槽、手洗い、トイレ、玄関、と全部バラバラの
モザイクタイルが使われていて楽しいのだが、これはたぶん、タイルの選択肢がたくさんありすぎて目移りして
選べなくて、あれもこれもちょっとずつ使ってみたい!!ということだったのだろうと想像している(笑)
各部屋から海が見えると言っても見える方向や景色も違い、リピーターの方はお気に入りの部屋を指定して
毎年泊まりに来るのだとか。
そして、こちらの物置のようになっている部屋も特別に見せて頂いたのだが、新館の客室にはない数寄屋風の
意匠があってちょっと面白い部屋だった。
屋根裏などを整理していると昔使っていた浴衣や従業員の制服などが山ほど出てきて、ほとんど処分したが
少しだけ残していると言って見せて下さった。この浴衣を着た風呂上りのおじさんたちが広間で宴会してごきげんで
酔っぱらっている姿が目に浮かぶ(笑)
本館の広間はもちろん畳だがドアは洋風だった。昔はそこで結婚式もやっていたのだそうだ。
チェックアウトしてから外回りをぐるりと。見えているのは前室オーシャンビューの新館だ。
敷地は石積みの低い塀で囲われている。
ところどころに入れられた動物のレリーフがカワイイ~
残っている方のドーマーウィンドウを、ここからやっと見ることができた。もう窓はなく閉ざされている。
ホテル新館の前はほんとにすぐ海。プライベートビーチならぬプライベート岩場だ。ゆっくり滞在して海辺を
日がな一日散策するのもよさそうだなぁ。台風でないときに限るけど。。。
続く。