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Channel: まちかど逍遥
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タイル旅金門島 民居探訪(7) 王金城洋楼

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2019年9月の台湾金門島の続き。



后宅集落の中に、マップにも載っている有名な洋楼がある。実は前回、ここのすぐ近くまで来たのに
チェックしておらず通り過ごしてしまったのだった。.


それがこちらの「王金城洋楼」。本当にお城のようじゃないか!


華麗な装飾がたくさん。装飾壁はレンガを積んでモルタル塗りということが分かる。
「中華民國廿一年」と読めるから、1932(昭和7)年築だな。


そしてここには素晴らしいタイルがあるのだ。1階の窓のまわり、右、左、上の壁にマジョリカタイルがびっしりと!!


窓の右側には、雷文タイルに囲まれて鶴の4枚組み絵タイルが8セット!!


窓の左側には、花綱タイルに囲まれて牡丹の4枚組み絵タイルが8セット!!
その上に眉毛のように横1列にタイルが貼られ、さらに天井近くにもずらりと1列並べられている。


この組絵タイルは4枚で完結する。「春山」という銘と落款のようなものもデザインに組み込まれており、
絵画を飾るように4枚セットで貼ることを想定して作られたはずである。にもかかわらず、ここではそれを
8セットもずらりと並べて空間を埋めている。こういう使い方は日本では全く見ないが台湾ではときどき目にする。
また瓊林で見たように、ABCDのパーツからなる4枚セットの組み絵タイルをバラして、Aばかりを並べて貼る、
AとBを繰り返し並べる、などの使い方も。日本のメーカーは全く想定していなかった使い方に違いない。
あぁ何と独創的。
台湾には手描きの絵を焼き付けた彩絵タイルがある。台湾人にとって、モールド(型)で作られている日本の
マジョリカタイルは絵画でなく、あくまで模様だと認識されていたのかもしれない。面白いなぁ!


さらに注目すべきは、このレンガ色の壁の地模様。
レンガと同じ材質の平板である「磚」を加工して寄せ木のように組み合わせ、いろんな模様を作り出す。
亀甲模様や格子などはよくあるが、ここまで複雑なものはなかなかないだろう。焼き具合によるわずかな
色の違いを生かして、織物の陰影のような控えめで上品な地模様にしているのである。




同じものが入口の右側にもあるのだが、モノが置かれていたりして近づけない。


入口から部屋の中を覗いてみたら、室内の壁にもタイルが貼られていた!!果物柄と、また鶴の組み絵タイル。
反対側は牡丹だろうか。外されたドアなどが立てかけられていてよく見えなかったが、危ないので中まで
入るのは止めておく。


蓬莱山を模した水場(?)






ここは空き家だが一応管理している人がいるのか、荒れ果ててはおらず、前庭もちゃんと草が刈られていた。
維持費は政府から出ているのだろうか。最低限、毀損されたりしないように管理してほしいから
多少入場料を取ってもいいんじゃないかな。。


私がここに行ったとき日本人の夫婦もタクシーに乗って見に来ていた。その人たちもあちこちの洋楼を見て
回っているという。GOOD LUCK!!


后宅集落にはこんなラブリーな平屋建ての洋楼もあった。柱間をつなぐアーチをモザイクタイル貼りの雷文で
飾ってあったり、テラス部分の欄干がひし形のデザインだったり、とてもおしゃれ!


これを見ると閩南式の民居の正面側をアレンジしてあることがよく分かる。
どこまでも基本形に忠実な閩南式の民居だが、洋風のエッセンスを取り入れつつ完璧におさまっており、
閩洋折衷スタイルのひとつの完成形だと思える。


集落を出るとき王金城洋楼を振り返って見ると、、、入母屋屋根!?


続く。

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