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Channel: まちかど逍遥
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むかし下津井回船問屋の本業タイル

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尾道からの続き。

尾道のトークイベントついでに鞆の浦ともう1ヶ所、狙っていたタイルスポットのある下津井へ向かう。
こちらもタイル友の会の精鋭調査部員からの情報による。感謝!
児島駅前からバスに揺られ、ぐんぐん山を上り、再び降りていく。お目当ての「むかし下津井回船問屋」はバス停の目の前にあった。
ここは回船問屋で船主でもあった高松屋の建物を修復、復元した施設で、母屋、蔵などが見学できるほか、案内所、資料展示、
物産販売、レストラン、休憩所などが揃った複合施設。到着したら雨はすっかり止んでいた。ラッキ~


バス停のある海側の道路は埋め立てられたところで、もともとは浜だったと思われる。建物の入口は山側の道路に面しており、
幅3mぐらいしかない細い道が古来メインストリートだったのだ。


下津井は児島半島の先端にあり陸の孤島のような集落だが、恵まれた地形により中世から風待ち、潮待ちの港として賑わった。
とりわけ江戸時代からは北前船が寄港するようになって瀬戸内の海上交通、海運の要所として発展、金毘羅参詣の渡船場としての
役割も加わり、「沸き立つように」栄えたところである。
副館長さんの話によると、廻船問屋は最盛期で下津井に24軒あり、高松屋はその中で最大規模で、12艘の船を所有していた。
屋号の「高松屋」は、清水宗治の備中高松にちなむとか・・・(詳細聞いたけど忘れた汗)


ここは分家であり商売する場所であったことから、それほど華美な建物ではなく規模もあまり大きくない。
通り土間に面して部屋が並び表側の部屋は田の字型の配置である。表から見ると一般的な町家のように見えるが各部屋は庭に面し、
緑越しになまこ壁の蔵が見えるのはとても涼しげでいいね!






そしてこの縁側の突き当たりにあるトイレがすごかった!!


こちら大便所。


うひゃ~~~、壁の下方2段と床に本業タイルがびっしり!!


壁のタイルは割とメジャーだが、床のタイルはちょっと見ない柄だ。翼を広げた雀が4羽で輪になっており、
四隅には竹垣があしらわれている。大きさも8寸角とかなり大きいな。床のタイルは四半張りされているが、
便器の前後だけ平行に貼ってある。


便器は手描き染付で四角いタイプだ。これも瀬戸製だろう。きんかくしの部分の絵をよく見ると、花と小鳥が描かれている。
雀のタイルと合わせたのだろうか。


ちなみにきんかくしは和服の裾を掛けておくためのものだったといい、これが後ろに来る方向で座るのが正解だとよく言われるが
先日大阪くらしの今昔館の館長のスペシャル解説で、それは室町時代までの話で、それ以降は今のようにきんかくしを前にして
座るようになったと教えて頂いた。へぇ~~


その隣の男子用小便所。うひょ~~~!!こちらも壁の下方3段と床に本業タイルがびっしり!


壁のタイルは、昨日鞆の浦の浜で拾ったのと同じものだ。もしやここから流れ着いた!?
・・・って、現存しているから違うな(爆)
手描き模様で埋めつくされた豪華な染付便器。


こちらにも小鳥が。しかしこれはどう見ても雀ではないな。。。


床のタイルはいちばんメジャーな柄だが、立つ位置を示すためだろうか、一部大判の雀のタイルが敷かれている。

あぁ~~素晴らしい!!トイレの床にへばりついて思う存分撮らせて頂いた。

副館長さんによると、この建物は1995(平成7)年に7億4千万円かけて改修された。最晩年には裏庭に工場が建てられ
かなり変わってしまっていたが、撤去して当初の姿に復元したのだという。すぐ近くに本家の建物が残っていたため、
参考にすることができたそうだ。ちなみに本家は非公開とか。そちらも見学したいなぁ~


もともと瀬戸内海に浮かぶ島であった児島は、干拓、埋立てで地続きとなった。埋立地には塩害に強い綿が植えられ、
綿織物や真田紐が生産された。北前船は北海道へ塩を運び、代わりに綿のよい肥料となるニシン粕を買い付けた。
下津井港から荷揚げされたニシン粕によって児島の綿作は増大し、ジーンズの生産につながっていく。


母屋の2階や蔵にはさまざまな資料や写真が展示され、かつての様子を偲ぶことができる。


茶屋町から下津井を結んでいたナローゲージの下津井電鉄は1913(大正2)年開業。1972(昭和47)年に
茶屋町~児島間が、1990(平成2)年には残る児島~下津井間が廃止となった。


これは「ドンザ」と呼ばれる漁師の作業着。日清戦争を描いたデザインだとか。


刺し子で描かれたフリーハンドの絵はいきいきとして、船や建物など細部まで表現されている。




続く。

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