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Channel: まちかど逍遥
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新タイル名所、川奈ホテル

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伊東からの続き。

伊東のまちなかから目的のバスに乗り込み、やってきたのは川奈ホテル。
川奈ホテルは富士屋ホテル日光金谷ホテル雲仙観光ホテルなどと共にクラシックホテルの会に名を連ねる老舗ホテルだが、
あまりメジャーではない気がする。近代建築好きの友人知人の間でも泊まってきたという話を聞いたことがない。
しかしネット検索して写真を少し見たところ、内部は結構古そうでタイルも使われているようなので、一度行ってみようと。


ゴルフ場として有名なのでゴルフ客専用と思われているのかもしれない。実際私もそういうイメージを持っていたが、
別にそういうことはないようで、気軽にランチもできるのだ。
白い壁に赤い瓦、このスパニッシュな外観はまったく古さを感じさせず、それゆえに写真を見ることがあっても
すでに建て替え済みか改修済みなのだろうと思っていた。しかし現地に来てみると結構いい感じ。期待が高まる!


エントランス付近にはスクラッチタイルも使われている。車寄せの柱のスクラッチタイルの荒々しいワラビ。
川奈ホテルの創業者は大倉財閥の2代目、大倉喜七郎。1928(昭和3)年に、ゴルフ場を開業、その後
1936(昭和11)年にホテルが開業している。スパニッシュ風の建物は高橋貞太郎の設計。
当時はスクラッチタイルが全盛の時代だっただろう。


いやしかし、スクラッチタイルだけではなかったのだ。「新タイル名所」と銘打っている通り、館内の至るところに
ふんだんに使われた工芸タイル系のニュアンスのある美しいタイルに、これから次々と出くわすのである!!


こちらは風除室の通気口のグリル。壁はトラバーチンが使われている。


そしてガラスドアの中に入ると、、、うぉ~~ぅ!!
エントランスの天井にはいちめんレリーフ装飾が施されており、クラシックな照明が下がる。
そしてその奥にあるロビー越しに広々した青い空が目に飛び込んでくる。


ささっと近寄って来られたスタッフに食事でと告げると、地下のグリルと1階のカフェがありますとにこやかに
案内してくれる。ここはやっぱりグリルだろうと、階段を降りかけたところ、、、


うわっ、階段の壁に渋いタイルがびっしり!12mm角ぐらいの、いわゆる豆タイルなのだが、こんな渋いのは
なかなかないな!!しかもこんなに大量の。


一片一片が窯変がかかって本当に美術品のようだ。褐色から緑ががっているものまで。なんと美しい。。。


シート貼りのようだが色の並びも全くバラバラで大きさも不揃い。手作り、手作業によるものだろう。


タイルの壁をなでなでしながらゆっくりと降りていくと、タイル壁は地下まで続いている。






あぁ、何と美しい壁!何とわくわくするグリルへのアプローチ!


ようやく地下へ降りると、、、グリルの入口にもタイルが!
アイアンの格子と組み合わせて、大人の社交場にふさわしい落ち着いた空間。あぁ素敵だなぁ~~~


パーティションのようなこの壁の向こう側は、「グリルバー」だった。


おぉ~!カッコイイ!!


カウンターがまたタイルでできているじゃないの!かすれた色合いが一見木製に見えるカウンターの部分も、
褐色のボーダータイル。


しかも段ごとに凹凸をつけて貼ってある。白いところは3cm角ぐらいのモザイクタイル。


脇にしつられたベンチの支柱もまたタイル。上に行くほど段々にせり上がった形が目を引く。


そしてカウンターの向かいの壁にはアーチ型のニッチが掘り込まれている。


その縁取りがまた、こだわった役物が使われていてもう感激!!中の壁ももちろんモザイクタイル貼り。
あぁ、美しすぎるニッチ・・・・


続く。

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