山鹿の続き。
山鹿のまちなみ中心部をあとにして、車で桜町温泉にやってきた。温泉という名の普通のお風呂屋は多いが
ここは本当の温泉である(笑)。道路から一段低い位置に建っていて、いかにも源泉へ下りていくかのような立地。
1:30から開いているというネット情報を見ていたのだが、人のいる気配がしないな。
屋根の上の湯気抜きの部分の瓦が剥がれ落ちていて、上にかけられたブルーシートも風化してボロボロになっている。
え・・・大丈夫かこれは?
車を停めて近くへ寄ってみるが、戸が閉まっている。開いていたら入る気だったが、これはちょっと無理そうだな。
この空間は「洗濯場」だったが3年前に廃止したようだ。というか、3年前まで使っていたのか!
桜町温泉の建物全体を入れて撮ろうと道路の反対側に渡って来たら、向かいの石垣になにやら書いてあるな。
古そうな石垣だ。
「稲荷神社鎮座五十年記念」「石垣築設 大正九年三月」「櫻町中」「区長・・・・ ・・・代・島福次郎」
「世話人 濱武順次 池田仁八 竹熊・・ 原山・・ 小井出穐蔵 竹下貞喜 松本八次郎 柿本峰次郎 従是西十五間」
苔むして読めないところもあるが、だいたいこんな感じか。
地図で見るとこの裏は東原稲荷社。稲荷神社の鎮座50周年記念プロジェクトとして地区の人々が尽力して
15間分の石垣を新設したようだ。
大正9年の50年前だから、1870(明治3)年にこの稲荷神社をこの地に祭ったということ。
ネット検索してもほとんど何も出てこないようなローカルな小神社だが、地域の人々の信仰を集め
節目ごとの行事を行ったり日々お世話をしていたのだろうな。
石垣を作るということは、このあたりの地形も整理したのだろう。大工事だったに違いない。
半世紀に一度の一大プロジェクトを成し遂げた人々の晴れ晴れとした表情が、この文字から思い描かれる。
桜町温泉をあとにして、さっき百花堂さんで教えてもらった、「千代乃園」というお酒の工場がある
西惣門という地域へやって来た。現役の工場で、白壁の大きな塗り壁の蔵が並び高い煙突もそびえる。
工場建築以外にも洋風近代建築や町家もあっていい感じのまちなみ!この先はもう菊池川だ。かつては水運に
便利な場所として工場が立地したのだろう。
木屋という天保年間創業の糀専門店。中も見学できるとのことだったので、通り土間の奥へ入らせてもらう。
蒸したお米に糀菌を混ぜて、室蓋に広げ、こうじ室(むろ)へ入れて寝かせると糀が育つ。
こうじ室は、石を積み上げて作った小部屋。まるで温泉の蒸風呂みたいだな!
木屋本店では昔ながらのやり方で糀を作っている。→木屋本店のサイト
中庭に神社もまつられていた。
桜町温泉に入らなかったので少し時間に余裕ができた。山鹿から熊本へ戻る途中にある来民文庫へちょっと
寄ってみよう。ここは主屋と2つの蔵、塀、薬医門、阿弥陀堂の6件が登録有形文化財となっている。
来民文庫は、ご当主の吉岡さんが個人的に収集された貴重な本や資料を収蔵する、私設図書館兼博物館。
予約制なのだが。建物の前まで来たらちょうどご夫婦で軽トラで帰ってこられたので開けていただいた。
ご当主の吉岡さんはもとは教師だったそうで、季節ごとに休みが取れたのだろう、自ら国内外へ出かけては
民具や衣装などを収集されたという。。今は農業をされるかたわら、講演(?)などをされているらしく、
今日もどこかで話をしてきたのだと言われていた。
入ったところは土間で、右手が座敷になっている。
いたるところに無造作に置かれた収蔵品は、アジアの布などちょっと驚くようなレアものも。
しかしここにはあまりにたくさんのモノがおかれているせいでほとんど建物に目がいかない(笑)
座敷の欄間はさすがに立派で、波間に飛ぶのは千鳥じゃないな、雁?白鳥?
また座敷の真ん中に、囲炉裏より小さい石造りの火鉢のようなものが埋め込まれていた。
これは、家の中でカイコを飼う「お座敷養蚕」のための暖房装置とか。へぇ~
そして奥様がお餅などのお菓子とお茶を用意して下さった。ええっ、ありがとうございます~~
また自家用のB級品のみかんを勧められて食べたらめちゃくちゃ甘い。
・・・しかし、実は時間がそんなになく、内心焦っていた。これから熊本空港まで戻るのに1時間ぐらいはみておきたい。
そしてガソリンを入れてレンタカー屋に車を返さねばならず、出発の30分前がチェックインのリミット。
それを過ぎると飛行機に乗れなくなる。明日はもちろん仕事だ。なのでここでの滞在時間は20分ぐらいの計算だ。
時間があまりないことを最初に言っておいたのだが、興味深い品々を見て解説を聞いたりお茶を頂いたりして
いるとあっという間に予定の時間を過ぎてしまった(汗)。空港まで40分くらいあれば行けるとのことで
次々と見せて下さるがもう全く頭に入らない(苦笑)。あぁ、また別の機会に来ないとな・・・
さすがにもうヤバいのでおいとまする旨を告げると、じゃあ最後に庭を案内しますよと言って、
江戸蔵、明治蔵、石風呂、を案内して頂く。蔵の中には本がぎっしり。そちらも雑誌のバックナンバーや
貴重な資料がすべてきれいに整理されて収納されていた。すごい!!
石風呂は石をくりぬいて作った浴槽で、昔はこのあたりではどこでも使っていたそう。こんなの初めて見たし、
さすが石の文化圏九州だなぁととても興味深い。そのうえタイルもあったが・・・ほんとにもうヤバイ・・・(爆)
そのあと外へ出て車へ・・・と、そこにも石風呂や石製の豚のエサ入れが多数転がっていた。もう壊すという家から
もらい受けて集めているのだそう。
短時間でおいとますることを詫び親切なもてなしにお礼を言って、にこやかに去ったあとは、、、もう必死に
車を飛ばす!!結局予定よりも30分ほど長く居てしまったので、もう予定のジェットスターに乗るのは絶望的、、、
大手キャリアの普通運賃を払うか新幹線(もちろん普通運賃)で帰るしかないか・・・と半ばあきらめの境地に
至っていたが、ガソリンスタンドもレンタカー屋もスムーズに処理してくれたおかげで、何と奇跡的に間に合った!!
あぁまた最後はこんな感じのドタバタ(苦笑)
いやしかし充実した旅だったな!!
終わり。
山鹿のまちなみ中心部をあとにして、車で桜町温泉にやってきた。温泉という名の普通のお風呂屋は多いが
ここは本当の温泉である(笑)。道路から一段低い位置に建っていて、いかにも源泉へ下りていくかのような立地。
1:30から開いているというネット情報を見ていたのだが、人のいる気配がしないな。
屋根の上の湯気抜きの部分の瓦が剥がれ落ちていて、上にかけられたブルーシートも風化してボロボロになっている。
え・・・大丈夫かこれは?
車を停めて近くへ寄ってみるが、戸が閉まっている。開いていたら入る気だったが、これはちょっと無理そうだな。
この空間は「洗濯場」だったが3年前に廃止したようだ。というか、3年前まで使っていたのか!
桜町温泉の建物全体を入れて撮ろうと道路の反対側に渡って来たら、向かいの石垣になにやら書いてあるな。
古そうな石垣だ。
「稲荷神社鎮座五十年記念」「石垣築設 大正九年三月」「櫻町中」「区長・・・・ ・・・代・島福次郎」
「世話人 濱武順次 池田仁八 竹熊・・ 原山・・ 小井出穐蔵 竹下貞喜 松本八次郎 柿本峰次郎 従是西十五間」
苔むして読めないところもあるが、だいたいこんな感じか。
地図で見るとこの裏は東原稲荷社。稲荷神社の鎮座50周年記念プロジェクトとして地区の人々が尽力して
15間分の石垣を新設したようだ。
大正9年の50年前だから、1870(明治3)年にこの稲荷神社をこの地に祭ったということ。
ネット検索してもほとんど何も出てこないようなローカルな小神社だが、地域の人々の信仰を集め
節目ごとの行事を行ったり日々お世話をしていたのだろうな。
石垣を作るということは、このあたりの地形も整理したのだろう。大工事だったに違いない。
半世紀に一度の一大プロジェクトを成し遂げた人々の晴れ晴れとした表情が、この文字から思い描かれる。
桜町温泉をあとにして、さっき百花堂さんで教えてもらった、「千代乃園」というお酒の工場がある
西惣門という地域へやって来た。現役の工場で、白壁の大きな塗り壁の蔵が並び高い煙突もそびえる。
工場建築以外にも洋風近代建築や町家もあっていい感じのまちなみ!この先はもう菊池川だ。かつては水運に
便利な場所として工場が立地したのだろう。
木屋という天保年間創業の糀専門店。中も見学できるとのことだったので、通り土間の奥へ入らせてもらう。
蒸したお米に糀菌を混ぜて、室蓋に広げ、こうじ室(むろ)へ入れて寝かせると糀が育つ。
こうじ室は、石を積み上げて作った小部屋。まるで温泉の蒸風呂みたいだな!
木屋本店では昔ながらのやり方で糀を作っている。→木屋本店のサイト
中庭に神社もまつられていた。
桜町温泉に入らなかったので少し時間に余裕ができた。山鹿から熊本へ戻る途中にある来民文庫へちょっと
寄ってみよう。ここは主屋と2つの蔵、塀、薬医門、阿弥陀堂の6件が登録有形文化財となっている。
来民文庫は、ご当主の吉岡さんが個人的に収集された貴重な本や資料を収蔵する、私設図書館兼博物館。
予約制なのだが。建物の前まで来たらちょうどご夫婦で軽トラで帰ってこられたので開けていただいた。
ご当主の吉岡さんはもとは教師だったそうで、季節ごとに休みが取れたのだろう、自ら国内外へ出かけては
民具や衣装などを収集されたという。。今は農業をされるかたわら、講演(?)などをされているらしく、
今日もどこかで話をしてきたのだと言われていた。
入ったところは土間で、右手が座敷になっている。
いたるところに無造作に置かれた収蔵品は、アジアの布などちょっと驚くようなレアものも。
しかしここにはあまりにたくさんのモノがおかれているせいでほとんど建物に目がいかない(笑)
座敷の欄間はさすがに立派で、波間に飛ぶのは千鳥じゃないな、雁?白鳥?
また座敷の真ん中に、囲炉裏より小さい石造りの火鉢のようなものが埋め込まれていた。
これは、家の中でカイコを飼う「お座敷養蚕」のための暖房装置とか。へぇ~
そして奥様がお餅などのお菓子とお茶を用意して下さった。ええっ、ありがとうございます~~
また自家用のB級品のみかんを勧められて食べたらめちゃくちゃ甘い。
・・・しかし、実は時間がそんなになく、内心焦っていた。これから熊本空港まで戻るのに1時間ぐらいはみておきたい。
そしてガソリンを入れてレンタカー屋に車を返さねばならず、出発の30分前がチェックインのリミット。
それを過ぎると飛行機に乗れなくなる。明日はもちろん仕事だ。なのでここでの滞在時間は20分ぐらいの計算だ。
時間があまりないことを最初に言っておいたのだが、興味深い品々を見て解説を聞いたりお茶を頂いたりして
いるとあっという間に予定の時間を過ぎてしまった(汗)。空港まで40分くらいあれば行けるとのことで
次々と見せて下さるがもう全く頭に入らない(苦笑)。あぁ、また別の機会に来ないとな・・・
さすがにもうヤバいのでおいとまする旨を告げると、じゃあ最後に庭を案内しますよと言って、
江戸蔵、明治蔵、石風呂、を案内して頂く。蔵の中には本がぎっしり。そちらも雑誌のバックナンバーや
貴重な資料がすべてきれいに整理されて収納されていた。すごい!!
石風呂は石をくりぬいて作った浴槽で、昔はこのあたりではどこでも使っていたそう。こんなの初めて見たし、
さすが石の文化圏九州だなぁととても興味深い。そのうえタイルもあったが・・・ほんとにもうヤバイ・・・(爆)
そのあと外へ出て車へ・・・と、そこにも石風呂や石製の豚のエサ入れが多数転がっていた。もう壊すという家から
もらい受けて集めているのだそう。
短時間でおいとますることを詫び親切なもてなしにお礼を言って、にこやかに去ったあとは、、、もう必死に
車を飛ばす!!結局予定よりも30分ほど長く居てしまったので、もう予定のジェットスターに乗るのは絶望的、、、
大手キャリアの普通運賃を払うか新幹線(もちろん普通運賃)で帰るしかないか・・・と半ばあきらめの境地に
至っていたが、ガソリンスタンドもレンタカー屋もスムーズに処理してくれたおかげで、何と奇跡的に間に合った!!
あぁまた最後はこんな感じのドタバタ(苦笑)
いやしかし充実した旅だったな!!
終わり。