八女の続き。
堂島屋から急いで戻ってきたのは、3時から老舗の製茶屋さん「矢部屋許斐本家」で喫茶の予約をしていたから。
高級茶として全国に名を馳せる八女茶の名を最初にうたったのがこの店なのだとか。
この字を書いて「このみ」とは、知らなければまず読めない難読姓だ。
許斐家は江戸時代中期にこの地域で山産物を扱う商店「矢部屋」を創業。
八女地方では昔から品質のよい茶が生産されていたが、矢部屋の8代目が現在地で製茶問屋としてスタート、
9代目すなわち初代許斐久吉がこの地域で生産される茶を「八女茶」と名づけ、2代久吉が正式にブランド化した。
現在は若き当主が6代目許斐久吉を名乗る。
このお店では予約をすれば奥の喫茶室でお茶を頂ける。
予約をしたのは実は不純な動機で(笑)、ここに本業タイルがあるというネット情報があり、それを見たかったので
メールに見学希望と書いておいたのだった。
3時ギリギリにお店に入るとお待ちしていましたと迎えて頂き、6代目自ら建物の奥へ案内して頂く。
道路に面した建物は製品を販売する店舗で、喫茶は奥の座敷になるらしい。ガラス戸を開けていったん
こじんまりした中庭へ出ると、何だか人の家におじゃましているような気分・・・
そしておもむろに、「こちらです」と。
えっ、おぉ~~っ、これか!!中庭の通路に面した壁に、見たことのある柄の大判のタイルが貼られていた。
目地はとっておらず突合せで、縦横5枚、合計20枚。これは瀬戸の本業タイルだな!あぁ、青色が鮮やか!
しかしなんでこんなところに・・・!?中庭の壁に貼られているというのはあまり見たことがないな。
その壁を90度回り込んだところにもまた違う柄のタイルが貼られていた。いずれも瀬戸でおなじみの柄で
8寸角の大判だ。左端の半端部分を埋めてあるのは5寸角だろう。いずれも明治後半から大正にかけて
作られたものとみられる転写タイルだ。
しかし、先に見たのは元から貼られていたが、こちら面のは後から貼ったものだと言う。
そのタイルは元々はトイレに貼られていたといい、中庭の真ん中に建つ古い木造のトイレのドアを
開けてくれたところ・・・
うひゃ~~~!!
あわわわわ・・・・タイルタイル!!
ここに貼られていたタイルの一部が改修時にはがされ、中庭に面した壁に貼られたということだろう。
しかしここにもあったとは!!
そしてつい見過ごしそうになったが、中庭の集水枡の蓋になっているのは・・・これも瀬戸の敷瓦じゃないの!
これは茶道具としての敷瓦のようだが、図ったようにぴったりサイズ。なんと贅沢な・・・(笑)
現在敷地内に建つ主屋2棟、離れ座敷1棟、土蔵3棟、製茶作業場1棟、合計7棟が八女市指定文化財となっている。
奥の建物は1905(明治38)年に建てられた離れ座敷だろう。
縁側からは中庭の庭木や灯籠ごしに、さっきのタイルが見える。この座敷はお客の接待に使用した場所で、
タイルはここからの視線を計算してあの壁に貼られたそうだ。へぇ~~、なるほど!
そして2階の喫茶室へ・・・
廊下のガラス窓からは中庭が見下ろせる。
格式高い雰囲気の座敷の中央にひとつだけ敷かれた分厚い座布団に誘導されると、何か緊張~~~(汗)
抹茶、煎茶、玉露の中から玉露を希望。衝立の奥で準備して頂いている間に部屋の中を観察。立派な欄間は松竹梅をモチーフに。
廊下に面した欄間のガラスは、堺屋で見たのと同じく絵が彫られている。
そしてこんなお膳で出てきたのは、小さな小さな茶碗に注がれた濃い黄緑色のお茶。うわぁ、ちっちゃ!
お茶の素養は全くない私であったが、ひと口含んでみて、ちょっとしたショックを受けた。甘い・・・!
だしが入っているかのような味わい。お茶のうまみが凝縮されているんだな。
その次に、さっきのより少し大きい茶碗で、2煎目のお茶を。こちらもやっぱり甘くうまみがある。温度は若干高くなっている。
そしてその次に3煎目のお茶がもう少し大きい茶碗で出された。よその家でいいお茶を出してもらって頂くときがこんな
感じかなと。ここでようやくお茶の味だと思った。ほんとに1煎目と2煎目は、お茶とは思えないような味だったのだ。
お茶の葉の質だけでなく淹れ方で大きく味が変わるといい、今日は渾身の出来ではなかったように言われていたが・・・
これ以上においしくなるのだろうか?いや~~、奥が深いものだなぁ!
そのあともいろいろお話させてもらいながらゆったりした時間を過ごした。・・・あぁ何と贅沢な時間だろう。
喫茶室というのはカフェみたいな場所を想像していただけに、感激。ありがとうございました!
私よりもだいぶ若いと思われる6代目、大きな看板を背負ってプレッシャーもあるだろうががんばってほしいな!
最後に店舗の横の、もとお茶の審査場だった場所を見学。この建物のファサードを特徴づけている、張り出した黒い
日よけの板は、茶葉の検査をするのにいつでも同じ明るさの光を取り入れられるようにする装置で、戦前に撤去されていたが
完全復原された。「食と建築土木」の本も書かれている二村悟氏が監修したとか。ははぁ~~
お店には超高級茶葉からお手頃なものまで並ぶ。手軽な水出しティーバッグを買ってみたが、喫茶室で淹れていただいた
あのお茶の味は再現できるはずもなく(笑)。そりゃ最高級の茶葉を買わないとね(爆)
→矢部屋許斐本家の公式サイト
ところであのような中庭のタイルは許斐家だけではなく、他の家にもあるらしい。立派な商家が並ぶ八女福島のまちなみの中で
公開されている家はわずかであるが、生活エリアも含め片っ端から見ていけば新たな発見があるんだろうな!
続く。
堂島屋から急いで戻ってきたのは、3時から老舗の製茶屋さん「矢部屋許斐本家」で喫茶の予約をしていたから。
高級茶として全国に名を馳せる八女茶の名を最初にうたったのがこの店なのだとか。
この字を書いて「このみ」とは、知らなければまず読めない難読姓だ。
許斐家は江戸時代中期にこの地域で山産物を扱う商店「矢部屋」を創業。
八女地方では昔から品質のよい茶が生産されていたが、矢部屋の8代目が現在地で製茶問屋としてスタート、
9代目すなわち初代許斐久吉がこの地域で生産される茶を「八女茶」と名づけ、2代久吉が正式にブランド化した。
現在は若き当主が6代目許斐久吉を名乗る。
このお店では予約をすれば奥の喫茶室でお茶を頂ける。
予約をしたのは実は不純な動機で(笑)、ここに本業タイルがあるというネット情報があり、それを見たかったので
メールに見学希望と書いておいたのだった。
3時ギリギリにお店に入るとお待ちしていましたと迎えて頂き、6代目自ら建物の奥へ案内して頂く。
道路に面した建物は製品を販売する店舗で、喫茶は奥の座敷になるらしい。ガラス戸を開けていったん
こじんまりした中庭へ出ると、何だか人の家におじゃましているような気分・・・
そしておもむろに、「こちらです」と。
えっ、おぉ~~っ、これか!!中庭の通路に面した壁に、見たことのある柄の大判のタイルが貼られていた。
目地はとっておらず突合せで、縦横5枚、合計20枚。これは瀬戸の本業タイルだな!あぁ、青色が鮮やか!
しかしなんでこんなところに・・・!?中庭の壁に貼られているというのはあまり見たことがないな。
その壁を90度回り込んだところにもまた違う柄のタイルが貼られていた。いずれも瀬戸でおなじみの柄で
8寸角の大判だ。左端の半端部分を埋めてあるのは5寸角だろう。いずれも明治後半から大正にかけて
作られたものとみられる転写タイルだ。
しかし、先に見たのは元から貼られていたが、こちら面のは後から貼ったものだと言う。
そのタイルは元々はトイレに貼られていたといい、中庭の真ん中に建つ古い木造のトイレのドアを
開けてくれたところ・・・
うひゃ~~~!!
あわわわわ・・・・タイルタイル!!
ここに貼られていたタイルの一部が改修時にはがされ、中庭に面した壁に貼られたということだろう。
しかしここにもあったとは!!
そしてつい見過ごしそうになったが、中庭の集水枡の蓋になっているのは・・・これも瀬戸の敷瓦じゃないの!
これは茶道具としての敷瓦のようだが、図ったようにぴったりサイズ。なんと贅沢な・・・(笑)
現在敷地内に建つ主屋2棟、離れ座敷1棟、土蔵3棟、製茶作業場1棟、合計7棟が八女市指定文化財となっている。
奥の建物は1905(明治38)年に建てられた離れ座敷だろう。
縁側からは中庭の庭木や灯籠ごしに、さっきのタイルが見える。この座敷はお客の接待に使用した場所で、
タイルはここからの視線を計算してあの壁に貼られたそうだ。へぇ~~、なるほど!
そして2階の喫茶室へ・・・
廊下のガラス窓からは中庭が見下ろせる。
格式高い雰囲気の座敷の中央にひとつだけ敷かれた分厚い座布団に誘導されると、何か緊張~~~(汗)
抹茶、煎茶、玉露の中から玉露を希望。衝立の奥で準備して頂いている間に部屋の中を観察。立派な欄間は松竹梅をモチーフに。
廊下に面した欄間のガラスは、堺屋で見たのと同じく絵が彫られている。
そしてこんなお膳で出てきたのは、小さな小さな茶碗に注がれた濃い黄緑色のお茶。うわぁ、ちっちゃ!
お茶の素養は全くない私であったが、ひと口含んでみて、ちょっとしたショックを受けた。甘い・・・!
だしが入っているかのような味わい。お茶のうまみが凝縮されているんだな。
その次に、さっきのより少し大きい茶碗で、2煎目のお茶を。こちらもやっぱり甘くうまみがある。温度は若干高くなっている。
そしてその次に3煎目のお茶がもう少し大きい茶碗で出された。よその家でいいお茶を出してもらって頂くときがこんな
感じかなと。ここでようやくお茶の味だと思った。ほんとに1煎目と2煎目は、お茶とは思えないような味だったのだ。
お茶の葉の質だけでなく淹れ方で大きく味が変わるといい、今日は渾身の出来ではなかったように言われていたが・・・
これ以上においしくなるのだろうか?いや~~、奥が深いものだなぁ!
そのあともいろいろお話させてもらいながらゆったりした時間を過ごした。・・・あぁ何と贅沢な時間だろう。
喫茶室というのはカフェみたいな場所を想像していただけに、感激。ありがとうございました!
私よりもだいぶ若いと思われる6代目、大きな看板を背負ってプレッシャーもあるだろうががんばってほしいな!
最後に店舗の横の、もとお茶の審査場だった場所を見学。この建物のファサードを特徴づけている、張り出した黒い
日よけの板は、茶葉の検査をするのにいつでも同じ明るさの光を取り入れられるようにする装置で、戦前に撤去されていたが
完全復原された。「食と建築土木」の本も書かれている二村悟氏が監修したとか。ははぁ~~
お店には超高級茶葉からお手頃なものまで並ぶ。手軽な水出しティーバッグを買ってみたが、喫茶室で淹れていただいた
あのお茶の味は再現できるはずもなく(笑)。そりゃ最高級の茶葉を買わないとね(爆)
→矢部屋許斐本家の公式サイト
ところであのような中庭のタイルは許斐家だけではなく、他の家にもあるらしい。立派な商家が並ぶ八女福島のまちなみの中で
公開されている家はわずかであるが、生活エリアも含め片っ端から見ていけば新たな発見があるんだろうな!
続く。