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Channel: まちかど逍遥
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虎尾の役所関連建築3つ

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西螺からの続き。

また車で20分ほど走り、虎尾へやってきた。ここは別の目的でいつか来たいと思っていたまちである。
台湾の農業といえばサトウキビ。製糖産業は近代における台湾発展の礎の1つであった。
畑で刈り取られたサトウキビを製糖工場へ運ぶサトウキビ列車は、台湾中南部でかつては網目のように
敷かれていたが、製糖事業の縮小やトラック輸送への切り替えなどによりどんどん廃止され、最後まで残ったのが、
ここ虎尾糖廠のサトウキビ列車だった。
台湾好き、貨物列車好きの私としては、台湾唯一の現役の(観光用でない)サトウキビ列車は是非とも見たい。
しかしこの列車が稼動するのはサトウキビの収穫期である12月~3月ごろのみで、しかも畑の中を走る列車を
見るには徒歩ではツライ。。。てなことで、これまでなかなか果たせていなかったのだ。
今はもちろんその時期ではないし、また現在も生きているかどうか最新情報をチェックしていないのだが(汗)、
雰囲気だけでも感じられるかもしれないし、今度来る時のための下見としよう。

さて、虎尾の中心部には日本統治時代の建築が3軒固まっている。
まず来たのは虎尾郡守官邸。これは日本人の役人が住むために1920~23(大正9~12)年頃に建てられた
完全な木造の日本建築。
光復後は、台南県虎尾区区長宿舎、国民政府来台官員臨時宿舎、嘉義法院雲林庭庭長宿舎、雲林地方法院院長宿舎、
と使われ続け、2001年に歴史建築として登録された。調査、修復を経て現在は「雲林故事館」となっている。


日本にいると錯覚してしまうほど日本家屋そのもの。


木造家屋はおそらくボロボロになっていたと思われ、ほぼ建替えのような工事だっただろうと想像。
それでも長い歴史を背負った建物が、この場所にあるということが重要なのだ。




中山路の突き当たりに堂々たる姿を見せるこの建物は、1922(大正11)年に建てられた元虎尾郡役所。


アーチの車寄せが印象的な1階はレンガ造、2階は木造だろうか。屋根は桟瓦が載った寄棟造。


建物は役所建築らしく奥行き方向にも棟が伸び、中庭に面して回廊がまわっている。




建物内にはこんな「嫌疑犯拘留所」があって、ドキッ!。元控訴院庁舎だった名古屋市市政資料館で
地下に拘置所があったが、郡役所にもあったのか。。。房屋の周りに廊下が回っていて独立しているのは、
犯人が壁に穴を開けて逃亡するのを防ぐためだとか・・・


ここは現在、雲林布袋戯館となっている。布袋というのは人形劇の人形で、手にかぶせて演じる。
布袋劇は中国で生まれたものらしく、頭は木でできていて、衣装はとても凝っていて華やかなものだ。
伝統芸能として守り伝えるためにここで展示や、実際に上演も行われている。


おっちゃんが語り手で、1人で全役を演じているようだった。部屋いっぱいのお客さんは大人も子供も
ゲラゲラ笑いながら鑑賞していた。私もしばらく見ていたが、言葉は分からなくても語り口と人形の動きが
とってもユーモラスで楽しげ。


1階には昔のものから今のものまで人形が展示してあった。昔のものは文楽のような感じで衣装も芸術的。
現代のものは頭が大きくなりデフォルメされている。やっぱりアニメの影響か(笑)


そしてこちら。これはどう見ても消防署だろう!と思ったら、虎尾合同庁舎だったそうで、1939(昭和14)年築。
1階は警察分室と消防組合の事務所、2階は公会堂として使われたそうだ。中央の塔屋には天文台があったとか!
日本統治時代の警察と消防の合同庁舎が残っているのは稀少な例だそうだ。


敷地角の印象的な入口。




塔屋の下の入口から入った階段室。1階に今は誠品書店が入っていた。


吸い込まれるような階段。


2階以上は上れなかったけど、このかわいい手すりを見て!こんなの日本でも見たことないな!


2階ではイベントか何かやっているようだったが、ちょろっと部屋に入らせてもらった。
そしてこの金庫のようなのは・・・奉安庫か!!奉安庫とは、天皇の写真を収めて崇めるためのものだった。
台湾に建てられた役所建築にもやっぱり奉安庫が設置されたのか。それが全くそのまま、めくれた錆も生々しく
残っているとは。ちょっと衝撃だった。


続く。

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