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Channel: まちかど逍遥
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タイルから始まる旅。

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年末も押し迫った寒い夜のこと、部屋でタイルや建築関係の本をパラパラとめくっていた。
「日本の洋館」の本を見ていると、うぉ~っ!タイルが貼り詰められたトイレが!!□150ぐらいの
結構大判で、4枚並ぶと花柄になる連続柄のタイルだ。藤森さんの書かれた文章を読むと、絵の部分に
凹凸のあるマジョリカタイル、明治30年頃と書かれているな。しかし縁の鮮やかな水色のタイルは確かに
マジョリカタイルだろうが、白地のもマジョリカタイルなのか??どちらか言うと本業タイルのようだが・・・

しかし、こんなすごい物件なのに全然知らなかったなぁ、いったいこれはどこ?
旧小西荘三郎邸、愛媛県北宇和郡。聞いたこともない。知られていないよなぁ。公開してないからか。
地方の田舎には人知れずこんなすごい建物が眠っているんだなぁ、今も一族の方がお住まいなのかな。
何とかして見れないものだろうか・・・?

再び素晴らしいトイレの写真を惚れ惚れと眺めていて、ふと気づいた。おや、これは・・・
私がこないだ蚤の市で買ってきたタイルと似てない??いや、似てるでしょ!!
あわてて手元のタイルと見比べると、おぉ、やっぱり同じ柄だ!!
蚤の市で並べられていたそのタイルが古いことはすぐ分かったし、和を感じさせる模様と手描き風の質感が
気に入って買ったのだったが、見たことのない柄だし、本業タイルなのか何なのか、帰って調べてもよく
分からなかったのだった。

そこで急に背筋がゾクッとなった。このタイルを買った時、店の兄ちゃんが、四国のすごい田舎から
出たものと言っていた。小西荘三郎邸の所在地は北宇和郡(※現在は宇和島市津島町)と書いてある。
愛媛県の田舎だ・・・
えええぇ~~~~っ!!!まさか、私の手元にあるタイルはここから剥がされてきたものなのか!?
この写真のトイレに貼られているタイルの、現物なのか!?そのタイルがここにあるとすると、建物は、、、
今すぐにでも現地へ確かめに飛んで行きたい衝動に駆られた。。。
手元のタイルを眺めながら心のざわつきが止まらず、夜中3時になっても全然眠れなかったのだった。。。


後日ふと思いついて、宇和島市に電話で問い合わせたところ、小西邸の建物は現在宇和島市の所有になっており、
件のタイルは、今も確かに現地にあるという回答だった。あぁ、そうなのか!!よかった~!
現地を見れないかと尋ねたが、建物はかなり老朽化が進んでおり危険であることやいろんな事情もあって
一切公開できないという。将来的に一般公開も視野に入れ、改修工事のための調査を今後行う予定である
とのことだったので、知らぬ間に取り壊されるということはなさそうだ。ほっ。。。

しかし、この建物のある岩松という地区は結構古い町並みが残っていて、洋館もあるようで面白そうだ。
ひょんなことからまちなみ保存会の関係の方がいろいろ案内してくださることになった。
小西邸の存在を外観だけでもこの目で確かめ、あわせて岩松のまちや周辺を巡るプランを立てることにした。

宇和島のついでにどこへ行こうか、と考えたとき、3年前に悪天候でピーチの飛行機が関空に引き返してしまい
中止に追い込まれた幻の旅計画を思い出し、復活して実行することに。
それはピーチで松山へ入り、宿毛からフェリーで佐伯に渡り、新門司からまたフェリーで大阪へ戻るという周遊プラン。
今回ちょっとアレンジし直して、金曜の夜に夜行バスを使ってみることに。夜行バスは苦手で敬遠していたのだが
今回は会社を休まずに最大のコスパを得られる夜行バスの魅力に屈してしまった(苦笑)
大阪発の夜行バスが、なんと今回第一の目的地の岩松まで直接乗り付けるのだが、直行バスだと現地
あまりに早く着き過ぎるので、結局八幡浜行きの夜行バスを使い、宇和島までJRで移動して、レンタカーを
借りることにした。それでちょうど9時頃に岩松に着ける。そして帰りは小倉から「バリ得ひかり」の
グリーン車で優雅に帰途につくという、我ながら素晴らしいプランができた(笑)

続く。

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