台湾の続き。
高雄から自強号で嘉義に移動してきた。こちらが今回の旅のメインである。
去年の夏ごろに建築めぐり仲間のUさんから、こんなとこあるよ、と教えてもらった台湾、嘉義の
マジョリカタイル博物館(台灣花磚古厝)。これはすぐ行かねば!!と速攻で1月の三連休のピーチ便を
押さえたのだった。mayumamaさんも行くというので2人で計画し、事前に博物館のオーナーの
徐さんにアプローチして仲良くなり、Google翻訳とLINE翻訳を最大限に活用して、半年かけて
打合せを重ねてきたのだった(笑)。
嘉義駅で迎えに来てくれた徐さんと感激の対面の後、博物館へ。それはそれはすごかった!!
壁を埋め尽くさんばかりに展示されたマジョリカタイルは圧巻!!
阿里山から切り出した台湾ヒノキの集散地として栄えた嘉義のまち。博物館は、材木商だった日本統治時代の
古い建物をリノベーションした、おしゃれなフォルムの三戸一の中央部。
オーナーの徐さんは台湾大学出身のエリートで、最先端のエンジニアという本業のかたわら、日本統治時代に
建てられた古民家が取り壊されるときに、壁や屋根の上に貼られた古いマジョリカタイルを救出、収集する
活動をもう20年も続けておられる。
協力仲間や解体業者とのネットワークから情報を得、自らも屋根に上って部材ごと取り外す。それを持ち帰って
タイルを一枚一枚剥がし、クリーニングするという地道な作業を、費用持ち出しでされてきたのだ。
そのコレクションは現在4000枚にも上り、そのうち約1500枚がこの博物館に展示されている。
壁に並べられたタイルは皆つやつやと光り新品のように見える。
長年風雨にさらされたタイルはひどく汚れカビがガラス質の内部まで入り込んでいるので、表面を磨いても
汚れが落ちないが、薬品と水に交互に浸けて繰り返し洗うことにより、このような美しさを取り戻す。
それは、きれいな状態で皆に見てもらいたいという徐さんの思いによる。
花や果物や鳥、幾何学模様、、、そのデザインは多種多様で実に華やか。日本では見たことのないものが多数、
と言うより、見たことがあるものの方が少ないかもしれない。
しかしこれらのタイルはほとんどが日本のメーカーのものなのだ!
日本のマジョリカタイルは正式には「和製ビクトリアンタイル」と言い、近代にイギリスのビクトリアンタイルを
模して日本のメーカーが競って生産した。
マジョリカとはスペインのマヨルカ島のことで、スペインタイルとは全く異なるこれらのタイルを
「マジョリカタイル」と呼ぶことはちょっと謎な気がするが、イギリスのミントン社がチューブライニングや
レリーフタイルの鮮やかな色のタイルを「マジョリカタイル」という商品名で売り出したことから、
日本でもこのタイプのタイルが一般にマジョリカタイルと呼ばれている。
しかし好みの違いか建築材料の違いか風土の問題か、日本ではあまり売れず、メーカーは早々に白無地タイルの
生産に切り替えていった。一方輸出用としては好調で、アジア各地やインド方面では盛んに使われたようだ。
当初はイギリス製品のパクリデザインだったが、輸出先の好みや世界観に合わせたデザインがどんどん作られていく。
ここにあるのはやはり南国らしい原色使いや中華圏の文化を示す吉祥模様など独特のものが見られ興味深い。
裏向けたタイルをずらりと並べたコーナーもある。裏足は接着をよくするためにタイルの裏側につけられた凹凸で
各社それぞれ工夫を重ね、ロゴマークを入れたりしている。
表のデザインは初期のころ皆イギリス製をまねていたので、各メーカーほとんど見分けのつかないものもあるが
裏を見ればどこ製かわかる。また同じメーカーでも時代により異なっているので年代もわかるなど、
裏足にはタイルの重要な情報が書き込まれているのだ。
淡陶、佐治タイル、不二見焼、日本タイル工業、神山陶器製作所・・・イギリス製もわずかながらあった。
台湾でのタイルの用途は日本とは異なる。日本でタイルといえば、RC建築の防水のために外壁に貼りつける
ようになり普及した外装タイルと、手入れのしやすさからお風呂やトイレ、台所などの水周りに使われたり、
床屋や銭湯など衛生観念の象徴のように使われた内装タイルがあった。
その中で装飾的にタイルを使っていたのはカフェーや遊郭などの遊興の場が主だったように思う。
しかし台湾では、華やかなタイルを家の入口周りや屋根の棟の部分などに装飾としてめいっぱい貼っている。
高価なタイルはその家の富の象徴として、外から見えやすい場所に貼られたのだという。
またベッドのヘッドボード、ステップ、鏡台などの家具にはめ込まれているのも、日本では見られない用途。
博物館にもいくつかの家具が展示されているが、かなりの富裕な家にしかないレア物だそうだ。
婚礼家具3点セットは結婚するときに男性が準備したという。
尚、深坑の記事でも書いたが、台湾のタイルは目地が入っておらず、聞けば貼り付けているだけだと言う。
ステップの天面に貼られたタイルは日々踏まれるのでバリバリに割れているものもある。もったいない・・・
階段の蹴上部に貼ってあるととっても華やか!
このレトロなカメラは今でも使えるとか。2階には古いレコードプレーヤーも置いてあり、レコードを
聞かせてくれた。徐さんはこういった古い機械にも愛情を注いでおられるようだった。
1500枚のタイルに囲まれて興奮冷めやらぬ私たち。。この日はタイルを眺めながら夜遅くまで語り合い、
日本から持ってきたプレゼントの自作タイルを渡したり、至福の時間を過ごしたのだった。
ま、中学英単語とGoogle翻訳を駆使しながらだったけど(爆)
滞在中はここの2階に泊めて頂いたが、そちらもまたすごかった・・・
続く。
高雄から自強号で嘉義に移動してきた。こちらが今回の旅のメインである。
去年の夏ごろに建築めぐり仲間のUさんから、こんなとこあるよ、と教えてもらった台湾、嘉義の
マジョリカタイル博物館(台灣花磚古厝)。これはすぐ行かねば!!と速攻で1月の三連休のピーチ便を
押さえたのだった。mayumamaさんも行くというので2人で計画し、事前に博物館のオーナーの
徐さんにアプローチして仲良くなり、Google翻訳とLINE翻訳を最大限に活用して、半年かけて
打合せを重ねてきたのだった(笑)。
嘉義駅で迎えに来てくれた徐さんと感激の対面の後、博物館へ。それはそれはすごかった!!
壁を埋め尽くさんばかりに展示されたマジョリカタイルは圧巻!!
阿里山から切り出した台湾ヒノキの集散地として栄えた嘉義のまち。博物館は、材木商だった日本統治時代の
古い建物をリノベーションした、おしゃれなフォルムの三戸一の中央部。
オーナーの徐さんは台湾大学出身のエリートで、最先端のエンジニアという本業のかたわら、日本統治時代に
建てられた古民家が取り壊されるときに、壁や屋根の上に貼られた古いマジョリカタイルを救出、収集する
活動をもう20年も続けておられる。
協力仲間や解体業者とのネットワークから情報を得、自らも屋根に上って部材ごと取り外す。それを持ち帰って
タイルを一枚一枚剥がし、クリーニングするという地道な作業を、費用持ち出しでされてきたのだ。
そのコレクションは現在4000枚にも上り、そのうち約1500枚がこの博物館に展示されている。
壁に並べられたタイルは皆つやつやと光り新品のように見える。
長年風雨にさらされたタイルはひどく汚れカビがガラス質の内部まで入り込んでいるので、表面を磨いても
汚れが落ちないが、薬品と水に交互に浸けて繰り返し洗うことにより、このような美しさを取り戻す。
それは、きれいな状態で皆に見てもらいたいという徐さんの思いによる。
花や果物や鳥、幾何学模様、、、そのデザインは多種多様で実に華やか。日本では見たことのないものが多数、
と言うより、見たことがあるものの方が少ないかもしれない。
しかしこれらのタイルはほとんどが日本のメーカーのものなのだ!
日本のマジョリカタイルは正式には「和製ビクトリアンタイル」と言い、近代にイギリスのビクトリアンタイルを
模して日本のメーカーが競って生産した。
マジョリカとはスペインのマヨルカ島のことで、スペインタイルとは全く異なるこれらのタイルを
「マジョリカタイル」と呼ぶことはちょっと謎な気がするが、イギリスのミントン社がチューブライニングや
レリーフタイルの鮮やかな色のタイルを「マジョリカタイル」という商品名で売り出したことから、
日本でもこのタイプのタイルが一般にマジョリカタイルと呼ばれている。
しかし好みの違いか建築材料の違いか風土の問題か、日本ではあまり売れず、メーカーは早々に白無地タイルの
生産に切り替えていった。一方輸出用としては好調で、アジア各地やインド方面では盛んに使われたようだ。
当初はイギリス製品のパクリデザインだったが、輸出先の好みや世界観に合わせたデザインがどんどん作られていく。
ここにあるのはやはり南国らしい原色使いや中華圏の文化を示す吉祥模様など独特のものが見られ興味深い。
裏向けたタイルをずらりと並べたコーナーもある。裏足は接着をよくするためにタイルの裏側につけられた凹凸で
各社それぞれ工夫を重ね、ロゴマークを入れたりしている。
表のデザインは初期のころ皆イギリス製をまねていたので、各メーカーほとんど見分けのつかないものもあるが
裏を見ればどこ製かわかる。また同じメーカーでも時代により異なっているので年代もわかるなど、
裏足にはタイルの重要な情報が書き込まれているのだ。
淡陶、佐治タイル、不二見焼、日本タイル工業、神山陶器製作所・・・イギリス製もわずかながらあった。
台湾でのタイルの用途は日本とは異なる。日本でタイルといえば、RC建築の防水のために外壁に貼りつける
ようになり普及した外装タイルと、手入れのしやすさからお風呂やトイレ、台所などの水周りに使われたり、
床屋や銭湯など衛生観念の象徴のように使われた内装タイルがあった。
その中で装飾的にタイルを使っていたのはカフェーや遊郭などの遊興の場が主だったように思う。
しかし台湾では、華やかなタイルを家の入口周りや屋根の棟の部分などに装飾としてめいっぱい貼っている。
高価なタイルはその家の富の象徴として、外から見えやすい場所に貼られたのだという。
またベッドのヘッドボード、ステップ、鏡台などの家具にはめ込まれているのも、日本では見られない用途。
博物館にもいくつかの家具が展示されているが、かなりの富裕な家にしかないレア物だそうだ。
婚礼家具3点セットは結婚するときに男性が準備したという。
尚、深坑の記事でも書いたが、台湾のタイルは目地が入っておらず、聞けば貼り付けているだけだと言う。
ステップの天面に貼られたタイルは日々踏まれるのでバリバリに割れているものもある。もったいない・・・
階段の蹴上部に貼ってあるととっても華やか!
このレトロなカメラは今でも使えるとか。2階には古いレコードプレーヤーも置いてあり、レコードを
聞かせてくれた。徐さんはこういった古い機械にも愛情を注いでおられるようだった。
1500枚のタイルに囲まれて興奮冷めやらぬ私たち。。この日はタイルを眺めながら夜遅くまで語り合い、
日本から持ってきたプレゼントの自作タイルを渡したり、至福の時間を過ごしたのだった。
ま、中学英単語とGoogle翻訳を駆使しながらだったけど(爆)
滞在中はここの2階に泊めて頂いたが、そちらもまたすごかった・・・
続く。