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Channel: まちかど逍遥
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京の夏の旅 本野精吾邸

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先日mayumamaさんと見に行って来た旧鶴巻邸(栗原邸)と同じく、本野精吾設計で鎮ブロックを
使用した彼の自邸、本野邸が「京の夏の旅」で公開されていることを知り、また一緒に見に行って来た。
緑陰濃い閑静な住宅地の中、地蔵盆の提灯をそこここに見ながら進んで行くと、やや開けた明るい
お庭の奥に、本野邸はあった。
鶴巻邸の半円形のサンルームのように目を惹く外観ではなく大人しいが、コンクリート色の箱型の
フォルムや水平に張り出したひさしなど共通している。


かわいいモザイクの表札。大理石のようだが陶片かもしれない。


1924(大正13)築で日本最初のモダニズム建築と言われる。工業的な材料を使い装飾を排した
建築であるが、玄関に味わいのあるレンガの柱が一本、ドアも木製のため冷たい感じはしない。

受付の方がおられる正面の小さなドアの奥は使用人部屋だったとか。さらに奥に台所へのドアがある。



この玄関ドア、インターホン付きなんですよと言われ内側を見ると、丸い金属のベルが貼りついていた(笑)


玄関土間のレンガ色のタイル。


室内はレンガ製の暖炉やフローリングなど、温かみのあるしつらえになっている。
機能性が追求され1階は広いワンルームとなっている。ワンルームのリビングは当時先進的だったようだ。
コンクリートで塗り固められた天井は比較的低いが、窓が高く取られているため光が入りやすく
圧迫感は軽減されている。


暖炉に使われたレンガは施釉レンガなのだろうか、表面は光沢がある。一部に印刻を見せてあった。


暖炉のグリルやドアノブ、窓のねじ錠のつまみなども美しくデザインされている。


暖炉の前にひし形をしたタイルのような装飾が。これもレンガだな。地味に素敵。。。


階段下のスペースを利用したこの小さな部屋は暗室として使われていたらしい。床は玄関と同じレンガタイル敷き。


展示されていた本で建築中の写真を見ると天井も鎮ブロックでできているようで、ちょっと心もとない
気がするなぁ。太い梁も、柱からの持ち送りもなくこれだけの面積の天井を支えられるものなんだろうか。。。
普通に考えると天井の中央が下がってきそうに思え、実際細いヒビが入っていた。今のうちに部屋の
中央に支柱を立てて補強した方がよくない??


階高が低いぶん階段は勾配が緩やかで、踏み面も広く上りやすい。


そして天窓から差し込む光がスポットライトのように、モルタル塗りの壁にグラデーションを描き出す。
うわぁ~、きれい!!


2階の部屋の壁に丸い穴が開いていたので聞いてみると、暖炉の熱を2階へ上げる空気の通り道だとか。
しかし断熱材が入っていないだろうから京都の冬は冷えるんじゃないかなぁ。。

お庭に出て外観を見ていこう。
鎮ブロックはもともと構造用なので表面はガサガサした無骨な風合いだが、それがかえって石積みの
ような味わいにもなり、表面に仕上げをせずに見せて使うようになったのだろうな。


裏には小さな小屋があり、これも鎮ブロック製と見える。ちょっと覗いて見ると、何と外便所だった!
翡翠色の便器が。。。


裏手の窓から家の方を覗き込んだら、洗面所とお風呂が見えた!床には緑系統の布目タイルが。おおーっ


このタオルかけと棚も古そうで素敵なデザイン。水回りは今回非公開だったが外から見れてよかった!


そのとき同行のTさんがふと「これは?」と足下を指さした。あっ、タイルじゃないの!?結構古そう。


排水溝の枯れ葉よけに突っ込まれたタイルを取り出して、張り付いた枯れ葉を払い落とし水で表面を
流したら、おお~っ、民芸の味わい。木の額に入れてコンクリートやレンガの壁に飾ったら見栄えが
するだろうな!
裏を見たら無地で裏足もなかったし、まわりを見てもこれ一枚っきりしか見当たらなかったので、
装飾用のものだったのだろうか。今回はTさんが目ざとく見つけてくれてよかった!




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