先日mayumamaさんとLIXILギャラリーで「武田五一の建築標本~近代を語る材料とデザイン」展を見てきた。
あまり内容を分からずに行ったのだが、そこにはいろんな建材のサンプル帖や見本などが展示されていた。
タイル、型板ガラス、引き手金物、パイプ、壁面の仕上げ材・・・などなど、それらは武田五一が
メーカーから取り寄せたもので、近代の建築によく用いられている材料や部材だ。
当時の新しい技術により作り出されてきた品々であるが、そこに並べられたラインナップを見るといずれも
質感豊かなものばかり。即ち、私好みのものばかりで、ため息交じりでじっくり眺める。。。
武田五一が建築学科の授業で行った、蝶の標本から羽の色をピックアップしてマス目を塗っていく
という配色分解の課題も展示されていて、自然界の色彩をこうやってレシピ化して図案に生かした
のかと興味深く見た。こんな授業受けたかったなぁ~
マルホフ式図案というのも聞きなれない言葉だったが、「歴史的模様や天然物の写生に拠らない創作」
によるものだそうで、ふと「模様から模様を作らず」という富本憲吉の言葉を思い出した。
彼は自然の草本の写生を元に新しい図案を創作した。武田五一はさらにハードルの高いクリエイティブを
目指していたのだな!
小さな部屋1室だけの展示は最初見たときは「これだけ?」と思ったが、見ていくといろいろ
発見があったり、参考になったり、見惚れたりで(笑)1時間たっぷり堪能した。
グランフロントのLIXILギャラリーになってから、地味なオフィスフロアの1室で場所も
分かりにくいしあまり来ていなかったが、やっぱり面白い展示をやるな~!
そしてそこで関連企画の講演会があると知って申し込み、昨日行ってきたらセミナールームはぎっしり満員!
石田潤一郎先生が講師でテーマは「武田五一から学ぼう、近代建築の技術と意匠」というものだったが
教育者としての武田五一やその人物像にもスポットを当てる内容で、個人的にとても面白かった。
若いときに数年間欧米視察をしてアールヌーボー、ゼセッション、グラスゴー派の理解を深め
日本にも紹介した。中でもゼセッションを好んだのは、使用する材料の性質を生かすことができること、
従来の因習に縛られず自由な試みができること、などの理由であり、日本式のゼセッションの創出を
目指したとか。
スパニッシュスタイルの導入にも貢献したのは、サンルームが日本建築の縁側と相通ずると見たから。
西洋の新しいものに無条件に飛びつくのではなく、日本の風土や暮らしや文化に裏打ちされた
日本建築のよさを認めながら、外部からも相性のよいものを取り入れて、独自のものを創っていく、
フラットな感覚には大いに共感する。素晴らしいなぁ!
もうひとつすごいのは、建築家でありながら机上の設計だけでなく材料や製造の技術まで詳しい
知識を持ち、現実的に「作る」ところまでを考えていたということ。
明治期には建築家が自ら新しい技術を持ち帰ったりしたが、武田五一の時代ではすでに技術が高度化して
専門職の仕事となっており、その中にあって技術的知識を併せ持つ建築家は特異な存在だったようだ。
分野は違うがちょっと自分の仕事と重ね合わせてうんうんと感じ入った。
武田五一の設計対象は建築だけにとどまらず、家具や工芸、橋梁や街灯などの都市施設など多岐にわたる。
建築家という枠にはおさまらない総合的なデザイナーだったのだな!
弟子や教え子などの思い出語りから、とても気さくで形式ばらない魅力的な人だったことがわかり、
ほんとにこの時代に生きて武田五一の教え子になりたかったなぁと思わずにいられない。
ま、それには先に帝国大学に入学しなければいけないんだけど(苦笑)
武田五一についてもっと知りたくなった講演会だった。
あまり内容を分からずに行ったのだが、そこにはいろんな建材のサンプル帖や見本などが展示されていた。
タイル、型板ガラス、引き手金物、パイプ、壁面の仕上げ材・・・などなど、それらは武田五一が
メーカーから取り寄せたもので、近代の建築によく用いられている材料や部材だ。
当時の新しい技術により作り出されてきた品々であるが、そこに並べられたラインナップを見るといずれも
質感豊かなものばかり。即ち、私好みのものばかりで、ため息交じりでじっくり眺める。。。
武田五一が建築学科の授業で行った、蝶の標本から羽の色をピックアップしてマス目を塗っていく
という配色分解の課題も展示されていて、自然界の色彩をこうやってレシピ化して図案に生かした
のかと興味深く見た。こんな授業受けたかったなぁ~
マルホフ式図案というのも聞きなれない言葉だったが、「歴史的模様や天然物の写生に拠らない創作」
によるものだそうで、ふと「模様から模様を作らず」という富本憲吉の言葉を思い出した。
彼は自然の草本の写生を元に新しい図案を創作した。武田五一はさらにハードルの高いクリエイティブを
目指していたのだな!
小さな部屋1室だけの展示は最初見たときは「これだけ?」と思ったが、見ていくといろいろ
発見があったり、参考になったり、見惚れたりで(笑)1時間たっぷり堪能した。
グランフロントのLIXILギャラリーになってから、地味なオフィスフロアの1室で場所も
分かりにくいしあまり来ていなかったが、やっぱり面白い展示をやるな~!
そしてそこで関連企画の講演会があると知って申し込み、昨日行ってきたらセミナールームはぎっしり満員!
石田潤一郎先生が講師でテーマは「武田五一から学ぼう、近代建築の技術と意匠」というものだったが
教育者としての武田五一やその人物像にもスポットを当てる内容で、個人的にとても面白かった。
若いときに数年間欧米視察をしてアールヌーボー、ゼセッション、グラスゴー派の理解を深め
日本にも紹介した。中でもゼセッションを好んだのは、使用する材料の性質を生かすことができること、
従来の因習に縛られず自由な試みができること、などの理由であり、日本式のゼセッションの創出を
目指したとか。
スパニッシュスタイルの導入にも貢献したのは、サンルームが日本建築の縁側と相通ずると見たから。
西洋の新しいものに無条件に飛びつくのではなく、日本の風土や暮らしや文化に裏打ちされた
日本建築のよさを認めながら、外部からも相性のよいものを取り入れて、独自のものを創っていく、
フラットな感覚には大いに共感する。素晴らしいなぁ!
もうひとつすごいのは、建築家でありながら机上の設計だけでなく材料や製造の技術まで詳しい
知識を持ち、現実的に「作る」ところまでを考えていたということ。
明治期には建築家が自ら新しい技術を持ち帰ったりしたが、武田五一の時代ではすでに技術が高度化して
専門職の仕事となっており、その中にあって技術的知識を併せ持つ建築家は特異な存在だったようだ。
分野は違うがちょっと自分の仕事と重ね合わせてうんうんと感じ入った。
武田五一の設計対象は建築だけにとどまらず、家具や工芸、橋梁や街灯などの都市施設など多岐にわたる。
建築家という枠にはおさまらない総合的なデザイナーだったのだな!
弟子や教え子などの思い出語りから、とても気さくで形式ばらない魅力的な人だったことがわかり、
ほんとにこの時代に生きて武田五一の教え子になりたかったなぁと思わずにいられない。
ま、それには先に帝国大学に入学しなければいけないんだけど(苦笑)
武田五一についてもっと知りたくなった講演会だった。