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Channel: まちかど逍遥
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カトリック桂教会

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今月の建築巡り講座はカトリック桂教会。
阪急桂駅は仕事で何度か下りたことがあり、いい感じの住宅街やお風呂屋があったりと
興味を惹かれてはいたのだが、こんな教会があったとは知らなかった。

円柱とくじらの背中のような礼拝堂からなる鉄筋コンクリート造の斬新な建物は、どこか
カトリック宝塚教会にも似たシルエット。(あぁこちらも記事にし損ねていたなぁ・・)

家具デザイナーとして名高いアメリカ人、ジョージ・ナカシマによる唯一の建築作品で、
1965(昭和40)年竣工。天気が悪く屋根のスカイラインがはっきり出ないのが残念。。。

礼拝堂はシェル構造で柱のない大空間。屋根のコンクリート厚みはわずか100mmと軽量化され、
一方構造体である壁は200mmと300mm(窓のある壁)の厚みがとられている。


躯体はコンクリートだが、扉や調度品、照明などはジョージお得意の木製なので冷たい感じはない。
打ちっぱなしのコンクリートも、型枠の木目が写った味のある質感。
これは型枠のベニヤ材がまだなかったので細切れの木材を使ったことによるらしいが、
日本人の美意識に合ったため、安藤忠雄以前の1950〜60年頃に流行したのだという。私も好きだ。


インテリアはアメリカ人から見た「日本」のエッセンスがちりばめられたジャパニーズモダン。


アールデコっぽい幾何学形の調度品が多い中、これだけ異質な感じのする装飾的な説教台(?)。


告解室の格子は組木の美しいもの。これもジョージ・ナカシマによるものだろう。
あとで見せてもらった家具作品のカタログにはこのような組木を用いたものがあった。



円柱の部分は洗礼室。帽子のつばのように張り出たひさしが少々野暮ったく感じられるが、
雨の多い日本では仕方ない。ひさしの厚みはおそらく礼拝室の屋根と同じ100mm。
礼拝堂の建物の大きさからすると屋根が紙のように薄いことがわかる。


明るい内部空間。過剰なほど太く密な梁は、今の1.5倍の高さがあったという十字架を支える
ためのものだったのだろう。





礼拝堂は上から見るとひし形をしている。ほれぼれするシャープな側面。


しかし100mmの屋根はさすがに薄すぎ、地震で(?)先端が折れてしまったのだとか。
壁からの張り出しは3mぐらい?斬新なだけに少々無理もあったようだ。



※Nikonのカメラ使用第1回目。天気が悪く難しかったのですが、観想を頂ければうれしいです。

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