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Channel: まちかど逍遥
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弘前 車で近代建築めぐり

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2019年10月の弘前の続き。

鶴田木造、板柳のドライブから戻ってきて旧藤田家別邸和館を見たあと、車がある間に、弘前城からちょっと離れているため
見れていなかった場所をめぐることにする。

まずは鏡ヶ丘記念館(青森県尋常中学校本館)。1894(明治27)年に竣工。県立学校の最古の木造校舎だという。
1958(昭和33)年の新校舎建設にあたり、同窓生の要望により本館の主要部が場所を移して残され、
鏡ヶ丘記念館と名付けられた。


1991(平成3)年の台風19号により壊滅的被害を受けたが、創立百十周年記念事業として同窓生の絶大な支援により
創建当時の姿によみがえったということである。
思春期を過ごした校舎と言っても、仮にこれが特徴のない安っぽい建物だったとしたらここまで愛着はなかっただろう。


そういうことなので建物はほぼ復元だろうと思われるが、色は自然で、風格も失われていない。忠実に再現されたと見える。


建物は閉まっていたのでガラス窓から覗くのみ・・・今も使われているようだ。


途中で見かけた古い町家。商店かな。正面は撮れず(汗)


文化財にも趣のある建物にもなっていないようだが、このぐらいはごろごろしているということか(苦笑)


そしてこちらの八角形の塔屋がついたかわいい建物は、弘前学院外人宣教師館。重要文化財に指定されている。
1906(明治39)年登記、弘前のクリスチャン棟梁桜庭駒五郎の設計施工と伝えられる。


元々は中瓦ヶ町の弘前学院旧構内に建っていたが、学院の全面移転に伴い現在地に移築復原したとか。


建物のまわりをぐるっと一周すると、見る角度によって印象がずいぶん変わる。どこから見てもさまになるな!


こちらは弘前銘醸のレンガ倉庫。スーパーマーケットの駐車場に隣接して細長い倉庫が3連、間隔を開けて建っている。


1932(大正7)年築。窓は少なくシンプルな形だが軒蛇腹がぐるりと回り、三角形のペディメントが「洋風感」を醸しだす。


表通りに面したところにも1棟あった。元々は8棟あったが現在は4棟が残り、倉庫として使われているという。
茶色い焼き締めレンガとの2色使いの塀も景観に貢献しているね!


弘前大学のキャンパス内にある、旧制弘前高等学校外国人教師館。1925(大正14)年築。
元はここから300mほど離れた場所に2棟並んで建っていたが、2003(平成15)年、県道拡幅工事に伴い解体。
ここでも同窓生の努力により、2棟の解体部材を活かしながら現在地に移築復元されたという。


現在この建物にはカフェが入っている。この時は時間が遅いからか閉まっていた。。。


基礎はレンガ積み、1階は下見板張り、2階はモルタル塗り、赤い屋根。窓が多く、住宅らしい魅力にあふれる建物だ。


移築前の写真が掲示されていた。うぉぉ~~~いい感じ。これに比べると現在の建物はちょっときれいすぎるな(苦笑)


弘前大学職員組合の小屋もかわいい。


現在「太宰治まなびの家」となっている、旧藤田家住宅。これはあの旧藤田家別邸とは無関係。
太宰治が官立弘前高等学校へ通うために下宿していた家である。
木部の露出が多い壁は、単なる真壁造りでなく装飾だろう。妻壁の三角の部分など惚れ惚れする美しさ!

1921(大正10)年に藤田家当主が、碇ヶ関村村長の家を移築して建てたと伝えられている。元は現在地から100mほど
離れた場所にあったというが、建物の向きを変えずに移築したのだとか。・・・あぁ、そうか。
住宅は部屋の配置や窓の位置など、建物の向きと関わる要素が多いので、移築時に建物の向きも再現することは重要なんだな!

玄関を入ると土間が奥まで貫いておりその左右に部屋がある。大正時代に生まれた「中廊下型」平面構成をよく表している。
これは台所や女中部屋などのサービス部分を土間で区切ることにより住居のプライバシーに配慮するという近代的な考え方。


ここが太宰治の下宿していた部屋。


欄間の模様は単純ながら面白い。




こうもりがひらひら。


太宰治まなびの家の向かいに、旧弘前偕行社がある。・・・えっ、工事中なの!?残念~~
1907(明治40)年に、旧陸軍第八師団の親睦・厚生施設として、堀江佐吉の設計により建設された。
大正天皇が皇太子時代に宿泊されたり、大正天皇の行幸の際、行在所ともなった。


戦後偕行社は解散、建物は払い下げられ、1949(昭和24)年から弘前厚生学院の所有となった。
1980(昭和55)年まで校舎として使われてきたが、その後修復工事を経て記念館として保存された。
旧弘前偕行社は重要文化財として指定されている。

あぁ、弘前の旅を堪能した~~!

ん?しかし旅程は3泊4日。あと1泊、1日残っているじゃないの、って?
さて、これから移動するのだ。

続く。

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