お正月ずっと更新サボってましたが・・・本年もよろしくお願いします。
新年のブログ初めは去年の秋に行った高知の記事から。。。
ジェットスターの新航路、大阪~高知便を使ってみたいと前々から考えていたのだが、時間帯が中途半端なのと
高知ってあんまりピンとこなくて(苦笑)なかなか手を出せていなかった。
行きは9:25関空発、10:15高知着なのでまぁいいとして、帰りは10:50高知発なのでほぼ何もできない。
まぁセールで片道2千円台なら、お試し感覚で軽~く行ってみるのもいいかなと、ポチってみた。
しばらく放置していたのだが、さすがに行く日が迫ってきたのでちょっと調べてみると、いい感じのまちなみがあるようだ。
レンタカーで行ってみよう。レンタカーも丸々24時間分で済むから安くつく。こうなったらとことん安く行ってやろうと、
素泊まりの安い宿を押さえた。
首尾よくレンタカーを借りたら東へGO!!いいお天気だし、途中の漁港でしらす丼を食べ、気分が上がってきた!!
向かうは室戸市の吉良川というまち。まずは遠い方から攻めて、戻りながらいくつかのまちを見、空港にほど近い
場所に泊まる計画だ。今回は高知市は潔くあきらめて、空港より東側のみ。
吉良川は重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)となっており、独特の形態の民家がずらりと建ち並んでいる。
いちばん物珍しいのは、この「水切り瓦」である。民家の漆喰壁から、ニョキニョキとひさしが生えている。
窓があるわけでもない、平らな部分に、である。ひさしは瓦1枚分の出幅で、それほど大きいものではないが
きっちりと仕上げられ、何段にも重なる姿は目に新しく、なんだかこれは冗談じゃないのか?と思ってしまうほど。
太平洋に直接面した南国土佐は台風をもろに受ける。水切瓦は、吹きつける風雨が直接壁に当たったり、
大量の雨水が壁伝いに流れるのを軽減する役目を果たす。家の壁を守るために考案された、先人の知恵である。
広い面積の妻壁に、まるで余白を埋めるかのように取り付けられた水切瓦は、三角形の幅に合わせて上の方は短く、
下の方は長く。蔵などでは軒より下の部分の水切瓦は建物をぐるっと1周している。
最初は奇抜な感じを受けるこの水切瓦も、等間隔の瓦の継ぎ目がリズミカルで、見ているうちにその端正な美しさの
とりこになってしまう。これぞ風土に根ざした独特の景観である。
吉良川の民家は基本平入りで、1階の軒が大きく張り出し、大屋根との間にわずかな壁が見えている。
よく見る近世の町家ではこの部分にはむしこ窓と呼ばれる格子窓があり、その中は天井高の低い屋根裏部屋に
なっているが、ここでは格子窓はなくよろい戸付きの小さな窓が1つか2つあるだけなのも特徴のひとつだろう。
漆喰は「土佐漆喰」という、のりを含まない漆喰だそうで、厚塗りされた漆喰壁の民家は「塗屋造り」と呼ばれる。
そしてもう1つ特筆すべきはこの「いしぐろ」。防風のため、丸い川石が積み上げられた石垣が各所に見られる。
これが実にいろんな趣きを見せていて、石垣好きの私にはたまらない!!
10cm~15cmぐらいの丸い石を半分に割った断面をずらりと並べた石垣、こんなのあまり見ないな!
よくもまぁ同じ大きさの石をこれだけ集めたもので、その上こんなうまく割れるものかと、妙に感心してしまう(笑)。
下半分は大きな石を整形した切石積みであり、そのまま上まで積み上げる方が手間もかからないし強度もあるだろうに、
こんなちまちまとかわいい石を積んでいるのは、景観を考慮してのことに間違いない。
歩いていると赤レンガも目についてくる。家の妻壁がレンガで積まれているところがちょいちょいある。。
ここはレンガ塀が路地の奥まで延びていた。
レンガ壁の赤は漆喰の白い壁と対比するように鮮やかで、ハッとする。こういう、壁の構造の一部をまるまる
レンガにした民家というのもあまり見ないが・・・もしかして漆喰の下はレンガなのだろうか?
近代建築によく使われる赤レンガはやはり明治以降のものだろう。レンガの使われた民家は比較的新しいということか。
塀の入口部分もアールのついたレンガで丁寧に仕上げられている。
メイン通りに面した民家はどの家も間口が広い。今はしもたやだがもともと皆商店だったと思われる。
近隣の山間部では古くから林業が盛んで、製炭も行われた。良質な木材や薪、木炭を京阪神へ運んで売りさばき、
吉良川のまちは栄えた。それらを運んだ廻船が、帰りにバラスト(船のバランスを取るための重石)として
レンガを積んで帰ったといい、そのレンガが建物に使われたのだと聞いて、なるほどと合点がいった!
よく見れば大阪窯業や岸和田煉瓦などの刻印が見つかるかもしれないな。
こちらもいしぐろ。この日は秋晴れで暑いぐらいだったが、雨の日に見るともっと情緒があるに違いない。
こちらは吉良川で唯一の(?)洋風建築。元郵便局として使われていた、熊懐家住宅。ペンキ塗りの下見板張り。
入口の上屋には郵便マークが。
そして屋根の上の鬼瓦にも!!ちょんまげのように長く突き出しているのは「鳥衾(とりぶすま)」と言う瓦。
おもしろいなぁ~~
ちょっと上手の方へ歩いて行くと、石垣率が高くなる。町家の形態ではなくなり、石垣に囲まれて独立した家が多いからだ。
石垣の内側には小さな庭があり、柑橘類の木が植わっている。土佐といえばゆず、ポン酢(笑)
土佐らしい素敵な景観。
石と石の間から薄いオレンジ色の目地が見えている。これは赤土と漆喰を練り合わせた「ハンダ」と呼ばれる
昔ながらの接着剤なのだとか。
あぁ、実用だけでなく美しさも兼ね備えた、吉良川のいしぐろ。本当に素晴らしいなぁ!!
こんな道をうろうろと歩き回るのは本当に楽しい♪
畑も石垣に囲まれていた。
続く。
新年のブログ初めは去年の秋に行った高知の記事から。。。
ジェットスターの新航路、大阪~高知便を使ってみたいと前々から考えていたのだが、時間帯が中途半端なのと
高知ってあんまりピンとこなくて(苦笑)なかなか手を出せていなかった。
行きは9:25関空発、10:15高知着なのでまぁいいとして、帰りは10:50高知発なのでほぼ何もできない。
まぁセールで片道2千円台なら、お試し感覚で軽~く行ってみるのもいいかなと、ポチってみた。
しばらく放置していたのだが、さすがに行く日が迫ってきたのでちょっと調べてみると、いい感じのまちなみがあるようだ。
レンタカーで行ってみよう。レンタカーも丸々24時間分で済むから安くつく。こうなったらとことん安く行ってやろうと、
素泊まりの安い宿を押さえた。
首尾よくレンタカーを借りたら東へGO!!いいお天気だし、途中の漁港でしらす丼を食べ、気分が上がってきた!!
向かうは室戸市の吉良川というまち。まずは遠い方から攻めて、戻りながらいくつかのまちを見、空港にほど近い
場所に泊まる計画だ。今回は高知市は潔くあきらめて、空港より東側のみ。
吉良川は重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)となっており、独特の形態の民家がずらりと建ち並んでいる。
いちばん物珍しいのは、この「水切り瓦」である。民家の漆喰壁から、ニョキニョキとひさしが生えている。
窓があるわけでもない、平らな部分に、である。ひさしは瓦1枚分の出幅で、それほど大きいものではないが
きっちりと仕上げられ、何段にも重なる姿は目に新しく、なんだかこれは冗談じゃないのか?と思ってしまうほど。
太平洋に直接面した南国土佐は台風をもろに受ける。水切瓦は、吹きつける風雨が直接壁に当たったり、
大量の雨水が壁伝いに流れるのを軽減する役目を果たす。家の壁を守るために考案された、先人の知恵である。
広い面積の妻壁に、まるで余白を埋めるかのように取り付けられた水切瓦は、三角形の幅に合わせて上の方は短く、
下の方は長く。蔵などでは軒より下の部分の水切瓦は建物をぐるっと1周している。
最初は奇抜な感じを受けるこの水切瓦も、等間隔の瓦の継ぎ目がリズミカルで、見ているうちにその端正な美しさの
とりこになってしまう。これぞ風土に根ざした独特の景観である。
吉良川の民家は基本平入りで、1階の軒が大きく張り出し、大屋根との間にわずかな壁が見えている。
よく見る近世の町家ではこの部分にはむしこ窓と呼ばれる格子窓があり、その中は天井高の低い屋根裏部屋に
なっているが、ここでは格子窓はなくよろい戸付きの小さな窓が1つか2つあるだけなのも特徴のひとつだろう。
漆喰は「土佐漆喰」という、のりを含まない漆喰だそうで、厚塗りされた漆喰壁の民家は「塗屋造り」と呼ばれる。
そしてもう1つ特筆すべきはこの「いしぐろ」。防風のため、丸い川石が積み上げられた石垣が各所に見られる。
これが実にいろんな趣きを見せていて、石垣好きの私にはたまらない!!
10cm~15cmぐらいの丸い石を半分に割った断面をずらりと並べた石垣、こんなのあまり見ないな!
よくもまぁ同じ大きさの石をこれだけ集めたもので、その上こんなうまく割れるものかと、妙に感心してしまう(笑)。
下半分は大きな石を整形した切石積みであり、そのまま上まで積み上げる方が手間もかからないし強度もあるだろうに、
こんなちまちまとかわいい石を積んでいるのは、景観を考慮してのことに間違いない。
歩いていると赤レンガも目についてくる。家の妻壁がレンガで積まれているところがちょいちょいある。。
ここはレンガ塀が路地の奥まで延びていた。
レンガ壁の赤は漆喰の白い壁と対比するように鮮やかで、ハッとする。こういう、壁の構造の一部をまるまる
レンガにした民家というのもあまり見ないが・・・もしかして漆喰の下はレンガなのだろうか?
近代建築によく使われる赤レンガはやはり明治以降のものだろう。レンガの使われた民家は比較的新しいということか。
塀の入口部分もアールのついたレンガで丁寧に仕上げられている。
メイン通りに面した民家はどの家も間口が広い。今はしもたやだがもともと皆商店だったと思われる。
近隣の山間部では古くから林業が盛んで、製炭も行われた。良質な木材や薪、木炭を京阪神へ運んで売りさばき、
吉良川のまちは栄えた。それらを運んだ廻船が、帰りにバラスト(船のバランスを取るための重石)として
レンガを積んで帰ったといい、そのレンガが建物に使われたのだと聞いて、なるほどと合点がいった!
よく見れば大阪窯業や岸和田煉瓦などの刻印が見つかるかもしれないな。
こちらもいしぐろ。この日は秋晴れで暑いぐらいだったが、雨の日に見るともっと情緒があるに違いない。
こちらは吉良川で唯一の(?)洋風建築。元郵便局として使われていた、熊懐家住宅。ペンキ塗りの下見板張り。
入口の上屋には郵便マークが。
そして屋根の上の鬼瓦にも!!ちょんまげのように長く突き出しているのは「鳥衾(とりぶすま)」と言う瓦。
おもしろいなぁ~~
ちょっと上手の方へ歩いて行くと、石垣率が高くなる。町家の形態ではなくなり、石垣に囲まれて独立した家が多いからだ。
石垣の内側には小さな庭があり、柑橘類の木が植わっている。土佐といえばゆず、ポン酢(笑)
土佐らしい素敵な景観。
石と石の間から薄いオレンジ色の目地が見えている。これは赤土と漆喰を練り合わせた「ハンダ」と呼ばれる
昔ながらの接着剤なのだとか。
あぁ、実用だけでなく美しさも兼ね備えた、吉良川のいしぐろ。本当に素晴らしいなぁ!!
こんな道をうろうろと歩き回るのは本当に楽しい♪
畑も石垣に囲まれていた。
続く。