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台湾総統府と土地銀行展示館

3月の台湾の旅の続き。

台北賓館を見学したあと、昨日空振りとなった総統府へ。今日は人が大勢来ている。よかった~
さすがに現役の総統府、セキュリティチェックは厳重で、空港のような手荷物検査を通ってから入場を許される。
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今日は正面玄関からの入場。もう何年も前に一度普通の日に見学したことがあるが、そのときは裏口から入り
グループでガイドツアーのような形で案内されて写真は撮れなかったと思う。やはり台北賓館とセットで見に来る人が
多いのだろう、こちらもかなりの賑わい。今回は自由に見て回れて、しかも以前よりも結構広い範囲を見学することができた。
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入口を入ると白亜のドームが!おお~~~っ、台大医院のドーム天井よりも高いな。柱形の凹凸が多くモールディングも何重にもなっていて豪華。
しかしここは修復された部分だろう。
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総統府の建物は日本統治時代の1919(大正8)年に台湾総督府として建てられた。第2次世界大戦の終盤で空襲を受け
大破したが、戦後にきれいに修復され、台湾総統府として現在まで使われている。
半壊した建物を建て替えるのではなく元通りに修復して使う。しかも、それまで自分たちの国に外からやって来て居座っていた
者たちが作った建物を。それはやはり戦後の物資不足の折に新築する余裕がなく、今残っている建物を部分的にでも使う方が
手っ取り早かったのだろう。もともと頑丈に作られた建物なのでもったいないというのもあっただろう。
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台湾では総統府だけでなく官公庁その他の公共建築、民間の商業建築なども、いまだに日本時代の建物を使い続けている
ところがまだまだある。日本による統治が終わり、脱日本化を急ぐ光復の時代に、旧統治者であった日本に対する感情を抑え、
建物を憎まず、使えるものは使う、という合理的精神と未来志向により、戦後の復興期に支出をセーブし他のインフラや
産業の発展に予算をかけることができたのではないかと想像する。
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実際に政治の舞台となっている部屋を見てまわる。
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1階の展示の内容も前回とかなり変わっていたように思う。今年2019年は総統府の築後100周年の年で、それに
合わせて常設展示を一新したのかもしれない。前回の内容はあまり詳細に覚えていないが、日本統治時代のことが
多く展示され、台湾人ガイドの説明は時々中国語だけで日本に対する恨みごとを言っているように感じたりもした。
今回も日本統治時代の展示もあったが、光復後から現在に至るまでの足跡がメインになっていたように思う。
現在の平和で便利な世の中を着実に作り上げてきた過程をわかりやすく見せていて、自分の国に誇りを持てるような内容。
また政治や総統府が身近なものであり、自分たちのものであるというメッセージを若者に向けて強く打ち出していた。
以前は観光客向けという感じだったのが、今は台湾の国民に向けた内容の展示になっている、と言えるだろうか。
建物もよかったが、台湾の力強くブレない意志を感じることができてじんわりと感動した。。。何か、うらやましい。
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ミュージアムショップでは100周年記念のグッズがいろいろ売られていたので、クリアファイルなどをお土産に購入。
出口付近では、おちゃめな蔡英文総統と陳建仁副総統と一緒に写真に写れるアプリ(?)などもあって楽しめた。
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総統府を出てからもまだもう少し時間がある。どうしようか、と思いながら土地銀行の前まで歩いてきたら、おや、
土地銀行は今ミュージアムになっているのか。「国立台湾博物館 土地展示館」。入ろ!
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この建物は日本統治時代の1933(昭和8)年に日本勧業銀行台北支店として建てられた。日本勧業銀行台北支店は
農業、灌漑、水利などの分野で融資し、台湾の農工業の発展を支えた。建物は戦後台湾土地銀行の本店として使われた。
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分厚い金庫の扉。東京日本橋の国末金庫製らしい。
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スチールの階段を上がると、狭い書庫のような棚の間に日本勧業銀行と土地銀行の歴史に関する資料が展示されていた。
日本語の解説も多いので助かる。
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当時日本勧業銀行は台湾で5支店を開設している。台湾で設立されたほかの銀行と違い、日本本土での預金を資金として、
台湾での土地の開墾、造林、灌漑、製糖や樟脳の製造、小学校や公学校の校舎建設などに融資したという。
しかし日中戦争の戦時体制下では、戦争経費調達のための債券を発行したりもしたようである。
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棚の一部はまた、展示として元の銀行時代の状態のまま残されていた。

台湾土地銀行時代のロゴマーク3種。上が初代。「台土銀」の文字をデザインしたもの。中段が2代目で
Land BankのLBをデザインしたもの。下が1990年から現在も使われている土地銀行のロゴマーク。
土地の「土」の字とLandの「L」をうまく表現した秀逸なデザイン。やっぱり台湾なんだから漢字でないとね。
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そして、銀行の営業室だったエリアへ移動していくと、、、一転して恐竜の展示が!!
銀行ならではの高く広い吹き抜け空間で、長い首の草食竜ものびのび、翼竜もゆうゆうと飛びまわる。
なるほど、巨大な恐竜の展示をするにはぴったりの空間だな!!
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しかも2階にぐるりとめぐらされた回廊は、これらの展示を上から眺めるのに最適だ。
銀行の建物を恐竜ミュージアムとして活用するというナイスアイデア!あぁ台湾では本当に、ヤドカリのように、
今ある建物にぴったりのコンテンツを見つけて空間を使うのがうまいなぁ!!いつも感服するばかり。
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この建物は1991年に市定古蹟として指定され、文建会と行政院の共同企画と言える「台湾博物館システム計画」の
中で修復工事が行われた。台湾で部署を越えて文化財の修復と活用を目指した、記念すべき最初の事例なのだとか。
建築についても図や写真を使った解説が各所にあって、壁の内部構造が分かるようになっていたり、充実している。
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あぁ、ちょうどいい時間となった。最終日も目いっぱい楽しんだ。今回は台北の知らないところをいろいろ
めぐることができた。日々進化しているし、前に見たことがあっても忘れているし(汗)。
何度来ても新鮮な驚きと感動に出会える台湾。あぁまた何度でも来たいなぁ!
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終わり。

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