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Channel: まちかど逍遥
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辻商店 最後の見学会

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伊賀上野へ行った日、実は朝から京都へ行っていて、解体目前の辻商店を見学してきた。
往復6車線の堀川通に面した垂直壁に、ロンバルディアバンドとアーチ型の窓枠をあしらった瀟洒な3階建ての洋風建築。
バスの車窓からも必ず目が留まる。


つい最近まで現役の事務所で、2011年からは懐紙専門店「辻徳」の店舗として営業していたが、店舗は移転、
この建物は解体されることになった。


解体前の特別見学会ということで多くの人が来るだろうから、朝イチの人が少ない時に見学しようと
開場の10時少し前に着くようにやって来たのだが、すでにもう何人もの人が来ていて早めに開けたようだ。

1階の窓には面格子がはまっていて銀行建築のよう。

入口脇に独特の字体で書かれた陶製の「辻商店」の看板が。一番上の井桁の中に「元」の字は昔のロゴだろうか。
縁にはハートのような模様がずらりと並んでラブリー(笑)


入口の枠も焼き物だ。これはタイルというべきか、テラコッタというべきか。飴釉と織部釉がたっぷりかかって
なんとも魅惑的な色あい。ダイヤ型の部分が宝石のようだな!


2面にまたがったL字型断面の焼き物。


見上げると、壁にも焼き物の装飾が付いている。


こちらは隣接する棟の入口脇にあったもうひとつの看板。こちらもいい色。


さて中へ入ろう。

1928(昭和3)年竣工の鉄筋コンクリート造。「昭和三年五月二十五日」の日付と「願人辻徳次郎」、
「施工人益井重蔵」の名が明瞭に書かれた棟札が残る。1956(昭和31)年に堀川通が拡幅された時には
建物を丸ごと曳き家したのだとか。

事務所の土間はこんなモザイクタイル貼り!かわいい!!
下水道の工事のためだろうか、それとも曳き家をした時の影響だろうか、一部のタイルがなくなって無造作に
コンクリートで埋めてしまっているのは少し残念。。。


カーペットのように柱形に合わせてぐるりと回した模様のボーダーが、役物タイルと同様のリッチな雰囲気を
かもし出す。


辻徳のウェブサイトにこのタイルをモチーフにしたボーダー装飾が使われている。かわいい~~ →こちら


古き良き事務所のカウンター。奥の台形に張り出した部屋が気になる。


そこはやっぱりスペシャルな部屋だった!


この応接室は六角形。外部に全く面していない部屋だけど、事務所に面した大きな窓とドアのガラスを通して
十分に光が入ってくる。


天井近くにこんな装飾が。これはタイル?漆喰装飾?


ここをカフェの特別席にしたら素敵だろうな!この狭さと直射日光の入らないやわらかな明るさが妙に落ち着き、
長時間まったりしてしまいそう~(笑)


洋館部分を抜けると奥には純和室がある。ここは仏間だ。裏庭に面して広縁があるが、かなり暗い・・・




小さな裏庭自体、建物に囲まれてちょっと暗い。


軒先にぶら下がっていた鐘。こんなベルのような形な釣鐘は見たことがない。珍しいな!


2階へ行ってみよう。


続く。

※昨日たまたまそばを通ったら、防音シートが全体にかけられていた。いよいよ取り壊しか・・・(涙)

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