もう2ヶ月前のことになるが、友達からこれまたすごい物件を教えてもらったので速攻で行くことにした。
ちょうど月一の洋風建築めぐり講座が奈良県の桜井だったので、その日の午前中に行こうと仲間数人に声をかけ
桜井駅前からカーシェアを借りて山の方へ走ること小一時間。途中林道みたいな道を走ったり、雪がちらついて
きたりしてビビッたが・・・まぁ何とか無事に着くことができた。
それがここ、「大和棟古民家JINYA」。大和棟とはこのように勾配の違う屋根が組み合わさった型式で、
奈良県で見られる。
近鉄橿原神宮前駅や畝傍御陵前駅の駅舎はこの形を模したものだ。
そしてJINYAの名の通り、ここは伊勢本街道沿いにある徳川紀州藩の陣屋だったらしい。建物の周りは
お城のような石垣が組まれている。
現オーナーの松本さんが数年前にここを購入され、現在は婚活パーティなどのイベントや古民家体験ができる
施設として使われている。建物は江戸時代のものだそうだが、使われている材がいいせいか状態もよい。
立派な茅葺き屋根は購入後に葺き替えられたもの。
茅は河原に生えている雑草のように思いがちだが、ちゃんと管理して栽培する農産物で、今では茅を栽培する
農家がほとんどなくなってしまったという。宮城県の方の栽培農家に依頼し、職人さんも来てもらったそう。
屋根だけで1千万円ほどかかったとか・・・
これは茅葺のモデルとして置いてあったもの。
平入の入口から入ると高い吹き抜けの土間があり、柱や梁も黒光りしてとても美しい。
土間は奥まで続き、裏には蔵もあるが、まずはタイルのあるお風呂場を。。。
うぉ~~~っ!!これだ!
お風呂場の壁にびっしりと貼られているのは瀬戸製の本業敷瓦。よく見るデザインの印花文だが、少し小ぶりで
模様の部分に青色の線が入っている。これは飫肥の山本猪平家の玄関に貼られていたものと同じタイプだな!?
青色は絵の具のような色だ。サイズは183mm角。飫肥のはもうひと回り小さく150mm角だったが
雰囲気はほぼ同じで比較的新しそうに見える。約240mm角の大判の敷瓦は江戸時代後期から明治中期に
かけて作られたが、瀬戸ではその古い敷瓦をモチーフにしたリバイバル品が大正時代に作られていたと、
以前瀬戸蔵の武藤さんから聞いた。ここのお風呂場は大正時代に改修されたのだといい、時代は合う。
小口タイルが貼られているところも元は全てこの敷瓦が貼られていたと言われていたが、貼り替えられたのも
もう数十年は前のことと思われ、真偽のほどは不明。。。
丸い鉄の釜が埋め込まれた五右衛門風呂は何と現役で、古民家体験では実際にお湯を張って浸かることが
できると言う。うわぁ~、いいなぁ!!この敷瓦の壁を眺めながらゆったりお風呂に浸かれるなんて、
至福じゃない!?季節のいい時にお風呂に入りに来たいなぁ(笑)
さて通り土間を奥へ進むと台所があり、ストレートエッジの黒無地タイルが貼られた立派なかまどがあった。
これは少し時代が浅く昭和になってからやりかえられたものだとか。
五右衛門風呂と同じ洗い出し仕上げの流しは骨材に貝殻が混ざっている。
五右衛門風呂の焚口もあった。
そして戦後に改修されたトイレは、イタリアタイルだろうか、プリント模様のタイルが全面に貼られていたが
斬新で妙にカッコイイ(笑)
そして裏にはなまこ壁の蔵が2つ。これは母屋よりも古く、約350年前のものだと言われていた。
文書蔵の入口にはうさぎの鏝絵が。
もうひとつ蔵は米蔵で、ここのなまこ壁は白い漆喰部分の幅が細く、高い。シャープな印象だ。
中はバーとして使っているのだそう。大人の隠れ家といった感じでいい雰囲気。中は夏も涼しいそうだ。
見学している間に、雪はしんしんと降ってきてみるみる積もってきた・・・
2月の真冬、車での山道が心配なので事前に問合せたら問題ないとのことだったので安心して来たのだが、
ちゃんと帰れるかどうか・・・中庭の美しい雪景色を見ながら内心ハラハラ。
主屋の中の座敷も立派なつくりで、素晴らしい意匠や襖絵などが散りばめられていた。
仏間のふすまに描かれた絵は有名な絵師によるものとか。
こんなモチーフひとつひとつが独立したような欄間は見たことがないなぁ!これも彫師の銘が入っていた。
(写真がブレていて読めず。汗)
建具の引き手もこだわりのあるものが使われている。
明治時代に作られたという茶室の天井は美しい杉の柾目板。江戸時代に作られた古いパーツを部分的に
再利用してあるということだった。
鉄線の花が描かれたこの吊り棚の襖絵も上品で美しい。
素晴らしい建物が美しく保たれ使われていてうれしいなぁ。でもこの施設もあまり知られておらず
まだまだ商売になっているとは思えない。今は個人の身銭で維持されているのが現実だろう。
アクセスの悪い山の中ではなかなか商売も難しいかもしれないが、何とか今後も長く維持できるように
繁盛すればいいなぁ。。
→大和棟古民家JINYAのサイト
雪は心配したほどひどくはならず、また松山地区のランチどころまで先導して下さったおかげで無事
人里へ戻ることができた。ほっ(笑)
いや~しかし、地元である奈良県にこんな物件があったとは!茅葺き民家にこういうタイルが使われていたとは!
驚いたなぁ~
ちょうど月一の洋風建築めぐり講座が奈良県の桜井だったので、その日の午前中に行こうと仲間数人に声をかけ
桜井駅前からカーシェアを借りて山の方へ走ること小一時間。途中林道みたいな道を走ったり、雪がちらついて
きたりしてビビッたが・・・まぁ何とか無事に着くことができた。
それがここ、「大和棟古民家JINYA」。大和棟とはこのように勾配の違う屋根が組み合わさった型式で、
奈良県で見られる。
近鉄橿原神宮前駅や畝傍御陵前駅の駅舎はこの形を模したものだ。
そしてJINYAの名の通り、ここは伊勢本街道沿いにある徳川紀州藩の陣屋だったらしい。建物の周りは
お城のような石垣が組まれている。
現オーナーの松本さんが数年前にここを購入され、現在は婚活パーティなどのイベントや古民家体験ができる
施設として使われている。建物は江戸時代のものだそうだが、使われている材がいいせいか状態もよい。
立派な茅葺き屋根は購入後に葺き替えられたもの。
茅は河原に生えている雑草のように思いがちだが、ちゃんと管理して栽培する農産物で、今では茅を栽培する
農家がほとんどなくなってしまったという。宮城県の方の栽培農家に依頼し、職人さんも来てもらったそう。
屋根だけで1千万円ほどかかったとか・・・
これは茅葺のモデルとして置いてあったもの。
平入の入口から入ると高い吹き抜けの土間があり、柱や梁も黒光りしてとても美しい。
土間は奥まで続き、裏には蔵もあるが、まずはタイルのあるお風呂場を。。。
うぉ~~~っ!!これだ!
お風呂場の壁にびっしりと貼られているのは瀬戸製の本業敷瓦。よく見るデザインの印花文だが、少し小ぶりで
模様の部分に青色の線が入っている。これは飫肥の山本猪平家の玄関に貼られていたものと同じタイプだな!?
青色は絵の具のような色だ。サイズは183mm角。飫肥のはもうひと回り小さく150mm角だったが
雰囲気はほぼ同じで比較的新しそうに見える。約240mm角の大判の敷瓦は江戸時代後期から明治中期に
かけて作られたが、瀬戸ではその古い敷瓦をモチーフにしたリバイバル品が大正時代に作られていたと、
以前瀬戸蔵の武藤さんから聞いた。ここのお風呂場は大正時代に改修されたのだといい、時代は合う。
小口タイルが貼られているところも元は全てこの敷瓦が貼られていたと言われていたが、貼り替えられたのも
もう数十年は前のことと思われ、真偽のほどは不明。。。
丸い鉄の釜が埋め込まれた五右衛門風呂は何と現役で、古民家体験では実際にお湯を張って浸かることが
できると言う。うわぁ~、いいなぁ!!この敷瓦の壁を眺めながらゆったりお風呂に浸かれるなんて、
至福じゃない!?季節のいい時にお風呂に入りに来たいなぁ(笑)
さて通り土間を奥へ進むと台所があり、ストレートエッジの黒無地タイルが貼られた立派なかまどがあった。
これは少し時代が浅く昭和になってからやりかえられたものだとか。
五右衛門風呂と同じ洗い出し仕上げの流しは骨材に貝殻が混ざっている。
五右衛門風呂の焚口もあった。
そして戦後に改修されたトイレは、イタリアタイルだろうか、プリント模様のタイルが全面に貼られていたが
斬新で妙にカッコイイ(笑)
そして裏にはなまこ壁の蔵が2つ。これは母屋よりも古く、約350年前のものだと言われていた。
文書蔵の入口にはうさぎの鏝絵が。
もうひとつ蔵は米蔵で、ここのなまこ壁は白い漆喰部分の幅が細く、高い。シャープな印象だ。
中はバーとして使っているのだそう。大人の隠れ家といった感じでいい雰囲気。中は夏も涼しいそうだ。
見学している間に、雪はしんしんと降ってきてみるみる積もってきた・・・
2月の真冬、車での山道が心配なので事前に問合せたら問題ないとのことだったので安心して来たのだが、
ちゃんと帰れるかどうか・・・中庭の美しい雪景色を見ながら内心ハラハラ。
主屋の中の座敷も立派なつくりで、素晴らしい意匠や襖絵などが散りばめられていた。
仏間のふすまに描かれた絵は有名な絵師によるものとか。
こんなモチーフひとつひとつが独立したような欄間は見たことがないなぁ!これも彫師の銘が入っていた。
(写真がブレていて読めず。汗)
建具の引き手もこだわりのあるものが使われている。
明治時代に作られたという茶室の天井は美しい杉の柾目板。江戸時代に作られた古いパーツを部分的に
再利用してあるということだった。
鉄線の花が描かれたこの吊り棚の襖絵も上品で美しい。
素晴らしい建物が美しく保たれ使われていてうれしいなぁ。でもこの施設もあまり知られておらず
まだまだ商売になっているとは思えない。今は個人の身銭で維持されているのが現実だろう。
アクセスの悪い山の中ではなかなか商売も難しいかもしれないが、何とか今後も長く維持できるように
繁盛すればいいなぁ。。
→大和棟古民家JINYAのサイト
雪は心配したほどひどくはならず、また松山地区のランチどころまで先導して下さったおかげで無事
人里へ戻ることができた。ほっ(笑)
いや~しかし、地元である奈良県にこんな物件があったとは!茅葺き民家にこういうタイルが使われていたとは!
驚いたなぁ~